2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500789
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小島 智恵子 Nihon University, 商学部, 教授 (70318319)
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Keywords | 原子力 / 原子力教育 / 科学技術史 / 日仏比較研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本とフランスの原子力教育を歴史的観点で分析し、21世紀における原子力教育のあり方を客観的に問い直すことである。初年度は主に学校教育に於ける日仏原子力教育の比較検討を行ったが、第2年度はフランスの原子力機関における原子力教育を中心に調べた。 1.フランスの原子力関連機関による原子力に関する教育支援活動の調査 CEA(フランス原子力庁)付属機関INSTN(Institut national des sciences et techniques nucleaires,国立核科学技術研究所)は、1956年に設立されて以来半世紀以上にわたり、技術者や研究者に対して核に関する先端分野の教育を行っているが、その活動の概略史をまとめた。そしてフランスでは、INSTNの任務は高等教育機関と企業との連携にあるとし、中央集権的なアプローチで原子力教育を総括していたこと、早期から放射線医療に関する教育を行っていたことを明らかにした。 2.INSTN所長へのインタビュー INSTN所長Laurent Turpin氏にインタビューを行い、既存文献資料を補った。インタビュー後、テープ起こしを行い、Turpin氏に原稿の修正を依頼した。インタビュー時にTurpin氏からは、初期のINSTNの活動を納めた貴重なビデオフィルム他、未出版の資料を頂戴した。そしてフランスの原子力開発とINSTINでの教育との間には非常に密接な関係があったことを見出した。 3.Webサイトの作成 本研究とそれに関連する研究成果・収集資料を公開するために、Webサイト(日・英ヴァージョン)を作成した。 4.学会発表 2010年3月21日日本物理学会於岡山大学にて「フランスに於ける初期の原子力教育に関する資料」について発表を行った。 フランスの原子力関連機関による原子力教育史に関する既存研究は殆どないことをふまえると、本研究がその第一歩を踏み出したことに意義があると考える。
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