2009 Fiscal Year Annual Research Report
17~19世紀における石見銀山の銀生産が環境に及ぼした影響に関する研究
Project/Area Number |
20500874
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
片山 裕之 Shimane University, 名誉教授 (00284018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 正秀 島根大学, 総合理工学部, 教授 (20202509)
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Keywords | 石見銀山 / 銀生産 / 銅生産 / 選鉱 / 製錬 / 佐渡金銀鉱山 / 多田銀山 / 生野銀山 |
Research Abstract |
石見銀山遺跡が世界遺産に登録された理由の1つに「環境への配慮を16世紀から実施していたこと」が挙げられていたが、その具体的な内容の解明がされていなかった。平成20年度は、銅含有量が低い鉱石(福石鉱床)を用いた場合の研究を行って、石見銀山の技術が佐渡金銀山に伝わって、佐渡で精度を上げられた選鉱・製錬技術が石見銀山にフィードバックされて、銀回収率、鉛利用率を高め、結果として、環境への悪影響を低減したことを明らかにした。それに続いて、平成21年度は、18世紀以降、福石鉱床が枯渇して銅を含む鉱石(永久鉱床)が使われるようになってからの選鉱、製錬法に着目して検討を行った。 (1) 石見銀山での銅回収量が19世紀まで不規則であったが、その理由が他鉱山にくらべて銅含有量が低いので、銅採取の経済性を出しにくいこと、18世紀までは銅需要の点から幕府の命令がきつい時は、銅採取するが、それが緩むと銅採取をやめることを繰り返したこと、1830年以降、鉱石自体の採取量が減少して、鉱山として生き残るために銅採取も本格に実施するようになったことによって説明できることを明らかにした。 (2) 銀回収のための製錬法は、16世紀に石見銀山から多田銀山、生野銀山に伝わり、そこで銅を含む鉱石の製錬法として確立され、17世紀になって、生野銀山から石見銀山にフィードバックされた。 (3) このように銀を含む鉱石の製錬技術(灰吹き法)は、石見銀山を経由して他の鉱山に伝えられたが、後日、石見銀山にフィードバックされて、日本式の技術として完成されたといえる。
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Research Products
(2 results)