2008 Fiscal Year Annual Research Report
高密度な降水資料を用いた関東地方の強雨発現に与える東京都市域の影響評価
Project/Area Number |
20500897
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高橋 日出男 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 教授 (40202155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 岳彦 帝京大学, 文学部, 教授 (10114662)
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Keywords | 短時間強雨 / 東京都心域 / 頻度 / 冷気外出流 / 地上風系 / 収束 / 強雨予測 |
Research Abstract |
A.南関東における夏季の強雨発現頻度分布に関する研究 データベース化した南関東における近年の時間降水量データを用いて,過去の期間の集計結果との比較から,近年の都市部における強雨発現の特徴を調べた. 1997〜2005年を対象とした解析では,20mm/h以上の強雨頻度は山地域で高いが,強雨の基準を上げるにつれて東京都心域の高頻度が目立つようになり,都心で強雨が発生しやすい傾向が認められた.また,20mm/h以上の強雨は,0,1時には沿岸域,13,14時頃には山地域,19〜22時には都心域で現れやすい.一方,1981〜1989年においては,都心域に強雨が現れやすい傾向は認められず,時刻別の集計においても19〜22時に都心域で強雨が現れやすい傾向もみられない. B.東京都心域に発生した短時間強雨の事例解析 東京都区部を中心とする多数地点の10分間値を収集し,2008年8月5日に東京都区部で発生した短時間強雨の事例解析を行った. 主たる強雨域の中心は新宿区東部〜文京区西部にあり,時間降水量や10分間降水量は練馬豪雨に匹敵するが,30mm/h以上の面積は半分程度であった.この強雨域の近傍には冷気外出流の収束域が存在しており,これによる上昇流が降水粒子形成・対流雲維持を通して強雨の持続に寄与した可能性が考えられる.また,雨量計とレーダーによる降水強度の時間推移は異なっており,対流雲の盛衰に関連した降水粒子の挙動を反映している可能性がある.都区部において一定以上の降水があった地域では,局所的な風系の進入に伴って降水開始の1時間程度前から地上風の収束量が増大し,降水開始と対応する収束の極大後の20〜30分間に降水量が急増する.また,収束量の極大値と10分間降水量の極大値には比例関係が認められるなど,地上風系変化の詳細なモニタリングによる短時間強雨の事前予測の可能性が指摘された.
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Research Products
(8 results)