2008 Fiscal Year Annual Research Report
深部地下環境における物質移動に関するナチュラルアナログ研究
Project/Area Number |
20510016
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
本多 照幸 Musashi Institute of Technology, 工学部, 准教授 (30139414)
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Keywords | 深部地下環境 / 物質移動 / ナチュラルアナログ / 高レベル放射性廃棄物 / 地層処分 / 土岐花崗岩 / ランタノイド / 中性子放射化分析 |
Research Abstract |
我が国では、高レベル放射性廃棄物(HLW)は安定な形態(ガラス固化体)に固化し、最終的に地下300メートルより深い地層中に処分する、いわゆる地層処分を基本方針としている。地層処分に際しては、人工バリアと天然バリアから成る多重バリアシステムを採用する方針である。ナチュラルアナログは、人間が限られた時間で行なう実験室試験と比べて、自然が長い時間をかけた総合的実験であり、両者は相補的関係にある。即ち、ナチュラルアナログ研究は数十万年にも及ぶタイムスケールで安全性を確保する必要があるHLW処分にとって、将来を精度よく予測する上で必要不可欠な研究手法と言える。 平成20年度では、先ず東濃地域ウラン鉱床群の基盤岩である白亜紀の土岐花崗岩の変質部及び断層部について、アナログ元素(U、 Th、ランタノイド(Ln)等)の分布と挙動を把握し、ナチュラルアナログの視点から評価した。 その結果、次の知見が得られた。(1)熱水変質部においては、化学的風化部と同様に、炭酸塩鉱物と粘土鉱物の二次鉱物の生成が確認できた。しかし、風化部と大きく異なることとして、一部試料において曹長石の生成を示した。これは、熱水変質による曹長石化作用を表しているものと考えられる。また、断層部においては、石英以外の殆どの鉱物が溶脱を示したが、炭酸塩鉱物の二次的な生成が認められた。(2)熱水変質部と断層部において、殆どのLn等微量元素が減少を示した。これは、熱水による影響が考えられる。(3)熱水変質部の曹長石化作用を示した試料において、La、 Ce、 Nd、 Hf、 Th及びUの濃集を示した。これらの元棄は、曹長石化によって取り込まれたものと思われる。(4)熱水変質部で唯一Feの増加を示した試料において、Uの増加を示した。この試料は、還元的な環境に移った可能性があり、その過程で黄鉄鉱が生成され、Uが濃集した可能性がある。これは、一部の風化部と同様である。
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Research Products
(4 results)