2009 Fiscal Year Annual Research Report
深部地下環境における物質移動に関するナチュラルアナログ研究
Project/Area Number |
20510016
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
本多 照幸 Musashi Institute of Technology, 工学部, 教授 (30139414)
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Keywords | 深部地下環境 / 物質移動 / ナチュラルアナログ / 高レベル放射性廃棄物 / 地層処分 / 変質帯 / ランタノイド / 中性子放射化分析 |
Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物(HLW)は、数万年という長い年月にわたって、非常に高い放射能レベルを有する。このHLWの処分方法として、我が国では地層処分が採用された。この地層処分によって、処分後から数千年間は人工バリアによって、その後数万年間は天然バリア(地層)によって、HLW中に含まれる放射性物質を保持することを想定している。処分を計画している地層深くは、酸素濃度が低く、地下水の流速も遅いため、HLWの処分に対して有効であると判断されている。しかし、実際の天然の地層中には、多数の割れ目が存在しており、また、その割れ目には様々な変質を受けている場合がある。HLWから移行した放射性物質が、割れ目や岩石粒子間中を移行した際、このような変質帯の存在が、放射性物質の移行にどのような影響をもたらすかは、明確にはわかっていない。 そこで、本研究(平成21年度)では、天然の地層(堆積岩)中に存在する変質帯等の様々な岩石を採取し、HLWに含まれる放射性核種(マイナーアクチノイド:MA)と化学的性質が類似している天然類似元素(ナチュラルアナログ元素)の存在形態を解明し、長期間、どのような環境において、どのような挙動を示してきたかを理解することによって、HLWに含まれるMA(主にAmやCm)が将来どのような挙動を示すか評価することを目的とした。 土岐花崗岩上面に形成された堆積岩中の様々な変質帯から採取した試料を中性子放射化分析等を用いて分析した結果、多くの変質帯において、天然類似元素の濃集を示した。その濃集の要因としては、変質帯に二次的に生成または充填したFe鉱物、炭酸塩鉱物及び粘土鉱物等の存在が、これら天然類似元素の保持に貢献していることが判明した。これらの変質帯は、天然の地層中の割れ目や岩石粒子間中に広く存在している。地下水等に伴いHLWから人工バリアを経て移行した放射性核種(MA等)が天然の地層中に拡散するが、このような変質帯との相互作用によって、変質帯中に取り込まれ、地層中に保持され、生活環境へ到達するまでの遅延効果が期待できることが示唆された。
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Research Products
(4 results)