2008 Fiscal Year Annual Research Report
野外加温操作実験による農耕地土壌の有機物分解に及ぼす温暖化影響の検証
Project/Area Number |
20510020
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
岸本 文紅 National Institute for Agro-Environmental Sciences, 物質循環研究領域, 主任研究員 (60334033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米村 正一郎 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 主任研究員 (20354128)
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Keywords | 土壌有機物分解 / 地球温暖化 / 野外加温操作実験 / 土壌呼吸 / 土壌炭素管理 / 温室効果ガス / 農耕地土壌 / 炭素循環のフィードバック効果 |
Research Abstract |
農業部門における地球温暖化緩和技術の一つとして、農耕地の管理方法の改善により土壌の炭素貯留量を増加させることが期待されている。土壌有機物分解の温暖化に対するフィードバックとその制御メカニズムの解明は、農耕地土壌の炭素隔離の気候変動に対する将来予測を行う上で緊急な課題である。本研究は、日本の代表的農耕地土壌(黒ボク土)を対象に、圃場スケールで土壌を温める野外操作実験による土壌有機物の分解に及ぼす温度上昇の効果を定量的に評価し、その制御メカニズムの解明を目的として行う。 本年度は黒ボク土畑圃場(小麦と大豆の輪作)において、予備実験にてテスト済みの赤外線ランプで土壌の上部から暖める方式を採用した土壌加温実験システムを構築した。加温区および対照区をそれぞれ3つ(各区2m×2m)を設置し、加温区の土壌深2cmにおける温度(それぞれ5点の平均)を対照区の同一深度の地温よりプラス2±0.2℃で電源をオン、オフすることにより高精度に加温制御ができた。自動開閉チャンバーを用いた測定システムを構築し、土壌有機物分解量を示すCO_2放出フラックス(根の呼吸が含まれないよう枠を設置)の連続測定を行い、6月までに加温前の土壌特性およびCO_2フラックスの地点間に有意差が無いことを確認した後7月末より加温を開始、加温による土壌有機物の分解の変化を検出するためのデータ蓄積を開始した。加温開始後、加温区のCO_2フラックス(mmol CO_2m^<-2>s^<-1>)は対照区に比べ低下し、加温期間の積算フラックスも対照区231±32gCm^<-2>に対し加温区は156±32gCm^<-2>で意に低かった(^<**>p<0.01)。すなわち夏の高温乾燥など圃場条件下で加温によって黒ボク土の有機物分解が低下する可能性があるという新しい知見が得られた。
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Research Products
(3 results)