2010 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺系撹乱化学物質の細胞外蛋白質への結合形態と細胞への取り込み機構の解析
Project/Area Number |
20510062
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山内 清志 静岡大学, 理学部, 教授 (50201827)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / 内分泌撹乱 / 化学物質 |
Research Abstract |
甲状腺ホルモンは脳の発達や器官形成に必須のホルモンである。野生動物やヒトの甲状腺系に、残留性の高いPCB、難燃剤等の有機ハロゲン化合物は深刻な影響を及ぼしている。甲状腺系撹乱化学物質の生体影響を理解する重要なステップとして化学物質の体内輸送系や代謝系の基本的理解が必須であると考え、以下の研究を行った。(1)^<125>Iで標識した化学物質を培地に加え、トランスポーター阻害剤や他の化学物質(ハロゲン化フェノール)を共存させてその効果を調べた。一群の単環ハロゲン化フェノールは、同様の機構で細胞内へ取り込まれるが、その機構は甲状腺ホルモンを含む二環ハロゲン化フェノールとは異なる機構であった。また、これらの取り込みは、既知のアミノ酸トランスポーター、有機陰イオントランスポーターの阻害剤の影響を受けないことから、これらとは異なる機構によるものと思われる。(2)両生類のフェノール性の化学物質標的となる細胞質スルフォトランスフェラーゼのクローニングを行った。この酵素遺伝子は一群のファミリーを形成しており、少なくとも5種類のサブタイプのクローニングに成功した。これらの酵素の中に、甲状腺ホルモン代謝に関わるサブタイプの存在が知られており、今後、これらのサブタイプの機能解析が必要である。
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