2008 Fiscal Year Annual Research Report
重金属汚染土壌の修復を目的とした有用植物資源の活用に関する研究
Project/Area Number |
20510089
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
玉置 雅紀 National Institute for Environmental Studies, 生物圏環境研究領域, 主任研究員 (00311324)
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Keywords | セレン / ファイトレメディエーション / Stanleya pinnata / Stanleya albescens / シロイヌナズナ / DNAアレイ |
Research Abstract |
本研究では、北米に自生するStanleya pinnata(スタンレア・ピナータ)のセレン耐性・高蓄積性のメカニズムを解明し、その成果をセレン高蓄積性植物の分子育種に応用することを目的とする。今年度はセレン高蓄積性スタンレア・ピナータとの比較対象となる植物材料の確立を行った。この植物は北米に広く分布しており、生育場所毎に異なる性質を持つことが考えられる。そこで、セレンを高蓄積するコロラド州原産のスタンレア・ピナータと、セレン吸収性が調べられていないカリフォルニア州原産のスタンレア・ピナータ及びその近縁野生種であるStanleya albescens(スタンレア・アルベセンス)のセレン蓄積性について検証を行った。これらの植物を20μMのセレン酸を加えて6週間水耕栽培を行い、ICP-AESにより植物に取り込まれたセレン含量を測定した。その結果、コロラド州原産のスタンレア・ピナータでは約2500ppmのセレンの蓄積が見られたのに対して、カリフォルニア州のスタンレア・ピナータでは500ppm、スタンレア・アルベセンスでは125ppmのセレンが蓄積していた。以上の結果からコロラド州原産のスタンレア・アルベセンスをセレン高蓄積性サンプルとして、スタンレア・アルベセンスをその対象として用いれば良いことが示された。またシロイヌナズナのDNAアレイがこの植物で使用可能かどうかについて検証を行うため、シロイヌナズナにコードされている30種類の遺伝子をランダムに抽出し、スタンレア・アルベセンスの全RNAを用いてRT-PCR及び塩基配列の決定を行った。その結果、30組のプライマーのうち26組でバンドが得られ、その塩基配列は平均でシロイヌナズナの遺伝子と80%の同一性があることが確認された。以上の結果からシロイヌナズナのDNAアレイはスタンレア・ピナータの遺伝子発現解析に使用できることが示唆された。
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Research Products
(6 results)