2009 Fiscal Year Annual Research Report
株式市場における注文フローの実証研究と暴騰暴落のメカニズムの探求
Project/Area Number |
20510153
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
増川 純一 Seijo University, 経済学部, 教授 (30199690)
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Keywords | 株式市場 / 暴騰暴落 / オーダーブック / リスク指標 / 主成分分析 |
Research Abstract |
本研究は,株式市場、外国為替市場などの時々刻々と価格が変動するような、連続ダブルオークション方式のオープンマーケットにおける暴騰や暴落のメカニズムを、複雑系という視点から解明することを目的とした研究である。 オープンマーケットでは、暴騰や暴落などの大きな価格変動は、外生的、内生的誘因によって、買いあるいは売りへの極端な注文の集中で起こる。 このような市場参加者全体の群れ行動は,直接的な観測量ではないものの,銘柄間の価格変動の相関に現れるものと考えられる。 一方,ヒストリカル・ボラティリティやVaRなど、従来のリスク指標は、個々の資産やポートフォリオの過去の価格変動の統計に基づいて決定される。そこでは、銘柄間、ポートフォリオ間の相関や、自己相関などの依存性は捨象されている。また、その値は、日々のデータの蓄積によりアップデートされるので、変化はゆっくりとしていて、市場が大きく変動している島面では、市場の変化に追随できない。それどころか、大規模な価格変動は、外れ値であって、異なる統計性を持っており、過去の変動からの外挿は適切ではない。 ロンドン証券取引所の、FTSE100指数を構成する銘柄に対して、対数収益率時系列の主成分分析を行った。期間は,当該研究助成によって購入したデータを含む,サブプライム問題の波及によって世界中のマーケットが株価の急激な変動を経験した時期である。 1分間隔の対数収益率時系列により、日毎に主成分分析を行ったところ、当該期間で、第一主成分(マーケットモード)に対応する固有値に1ヶ月程度の有意な自己相関と、日次収益率の大きさとの間に系列相関が観測された。この事を利用して、価格変動リスクの新たな動的指標を提案した。 研究成果は,国内外の研究集会,学会で報告している。
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Research Products
(9 results)