2010 Fiscal Year Annual Research Report
株式市場における注文フローの実証研究と暴騰暴落のメカニズムの探求
Project/Area Number |
20510153
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Research Institution | Fukuyama Heisei University |
Principal Investigator |
増川 純一 成城大学, 経済学部, 教授 (30199690)
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Keywords | 株式市場 / 暴騰暴落 / ドローダウン / リスク指標 / 主成分分析 |
Research Abstract |
本研究は,株式市場、外国為替市場などの時々刻々と価格が変動するような、連続ダブルオークション方式のオープンマーケットにおける暴騰や暴落のメカニズムを、複雑系という視点から解明することを目的とした研究である。 株式市場、外国為替市場など、投機的性格を持つ資産市場において大規模な価格変動が起きるメカニズムを、群れ行動という視点から研究した。市場参加者全体の群れ行動は,直接的な観測量ではないが,銘柄間の価格変動の相関,価格の連続的な上昇(ドローアップ)や下落(ドローダウン)の現われるものと考えた。 ドローダウンに関しては,東証のデータに関して分布を詳しく調べたところ,上げ相場であった2005年の高流動株は,2008年ほどではないが,時間的な相関を消去したシャッフル・データより実データの方が1.6倍ほど裾野が広く,70%の銘柄でパレート分布が棄却されなかった.価格変動の小さい2004年は高流動株,低流動株ともにシャッフルしたデータと実データとの顕著な違いはみられなかった.このことから,突発的な,売り,買いへの集中という群れ行動は,価格が長期的に大きく変わるときの高流動株の特徴であることがわかった.また、ロンドン証券取引所のデータによって、銘柄間の相関の指標である対数収益率時系列の相関行列の最大固有値とドローダウンの関係について詳しく調べたところ、ドローダウンの大きさの上位では,そのときの最大固有値が上位の階級に属する確率が大きかった.例えば,上位10%のドローダウンの半分以上は最大固有値の第四4分位に集中していた.また,各銘柄の日中のドローダウンの最大値と最大固有値との順位相関係数は,前者期間では0.26~0.72(平均:0.52)であったのに対し,後者期間では-0.06~0.42(平均:0.20)であった.このことから2つの群れ傾向の指標には強い相関があることがわかった.この系列相関を利用して、価格変動リスクの新たな動的指標を提案した。
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Research Products
(6 results)