2009 Fiscal Year Annual Research Report
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20510172
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 博明 Kobe University, 理学研究科, 教授 (60019495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 秀巳 東京大学, 理学系研究科, 特任研究員 (70456854)
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Keywords | 噴火様式 / 富士火山 / 猿橋溶岩流 / 集斑状斜長石 / 溶融実験 / ガラス質溶岩流 / 粘性係数 / Temperature-Time-Transformation diagram |
Research Abstract |
富士火山について,猿橋溶岩,三島溶岩等の調査・採取を行った.これらの溶岩の集斑状組織について定量的な記載を行った.猿橋溶岩は富士火山の玄武岩中では最も鉄に富むが,斑晶は斜長石のみであり,その75%が集斑状組織を呈している際立った特徴がある.その成因に迫るために,まず,天然の集斑状組織斜長石の2面角を測定した.柱面のみを用いて測定すると猿橋溶岩で66度,三島溶岩で58度であり,猿橋溶岩で選択的に集斑状組織を呈することと対応している.高温溶融実験でどの程度集斑状組織が再現されるか試みた.含水溶融実験では6%程度の斜長石が集斑状を呈した.1気圧で単純冷却の場合と,Shearを加えた場合でいづれも猿橋溶岩中で集斑状斜長石は20%,三島溶岩で5%であった.一旦溶融したメルトを温度を上下させながら冷却した場合には25-32%が4個以上の結晶が集合した集斑状組織を呈し,斜長石の65-69%は複数の結晶の集合となった.これは昇温時に結晶が溶融して結晶核を形成してそれが近傍の結晶に付着して集斑状組織を作るものと考えられる. 皮子平溶岩の調査・試料採取を行った.この溶岩流はガラス質であり,ガラス組成と温度から推定される粘性係数は10^<9-10>Pasである.この粘性は,これまでTTT図が得られている2つの場合の結晶作用のNoseの下の非結晶条件での粘性に対応しており,マグマ脱ガスによる高粘性がガラス質溶岩流を生んだ原因であると考えられる.流速から噴火時の定置時間を求めると数100日で約5kmを流れたことになり,きわめて遅い溶岩流であったと考えられる. 粘性係数については,これまでの海嶺玄武岩とハワイソレアイトについての結果を学会発表し,さらにイタリヤ,ブルカネロ火山のショショナイトについて1気圧での粘性係数型定実験を行った.この溶岩はリキダス相が輝石であり,結晶量に対する相対粘度が極めて高い特徴があった.この仕事は纏めてChemical Geologyに投稿中である.
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Research Products
(6 results)