2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光共鳴エネルギー転移とヘパラナーゼ基質特異性を利用するがん診断薬の開発
Project/Area Number |
20510200
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田村 純一 鳥取大学, 地域学部, 教授 (30221401)
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Keywords | 糖鎖工学 / がん / 診断薬 |
Research Abstract |
がん細胞は成長増殖とともに血管内に浸潤し、遠隔臓器に血行性転移する。その際、がん細胞は基底膜を破壊して血管内に浸潤する。基底膜はヘパラン硫酸を構成分子としており、がん細胞自身の分泌するヘパラナーゼによる基底膜ヘパラン硫酸の分解が、血行性転移の突破口となる。がん転移の開始と血中ヘパラナーゼの濃度上昇は、高い相関がある。また、ヘパラナーゼが認識するヘパラン硫酸の微細構造は極めて特異的である。本研究では、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)に対応する蛍光発色基を装着したヘパラン硫酸オリゴ糖を酵素基質として化学合成する。これにより、迅速かつ簡便なヘパラナーゼ濃度の診断を可能にし、がんの早期発見法を開発する。 本研究期間中に以下の点を明らかにした。1.蛍光発色基を装着した四糖基質(診断薬試作品)を化学合成するため、グルコースから誘導できるGlcA-GlcN型二糖(共通二糖ユニット)の合成経路を確立した。単糖同士の縮合は高収率かつ立体選択的に進行し、共通二糖ユニットを効率的に合成することができ、その量的確保も行った。2.ヘパラン硫酸四糖骨格の形成のための共通二糖ユニット間の効率的な縮合方法(オリゴマー化)も見いだし、α-GlcNとβ-GlcAからなる二糖単位が二回繰り返されているヘパラン硫酸四糖の合成にも成功した。3.FRETを起こす蛍光発色基のペアのうち、立体的に酵素反応を阻害しないものを選択し、糖鎖の前後への装着を試みた。しかし、意外にもこれらの蛍光発色基が温和な加水素分解条件に反応してしまうことが明らかになった。発色基が影響を受けないように合成経路を変更し、完成を目指している。完成次第、酵素反応に供する予定である。
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Research Products
(14 results)
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[Presentation] Contents and Compositional Analyses of Glycosaminoglycans Derived from Fish.2010
Author(s)
J.Tamura, K.Arima, H.Fujita, M.Kitagaki, A.Nakamura, R.Hatto, Y.Hieda, S.Morimoto, S.Masuda, Y.Ishihara, S.Yoshioka, S.Yoshioka
Organizer
25th International Carbohydrate Symposium
Place of Presentation
幕張
Year and Date
2010-08-03
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