2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
A Study on the Religious Policies and United Front Activities of the Chinese Communist Party in the Tibetan Area of Sichuan Province
Project/Area Number |
20510240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
KAWATA Susumu Osaka Institute of Technology, 知的財産学部, 准教授 (10288756)
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Project Period (FY) |
2008 – 2011
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Keywords | 東チベット / 中国共産党 / 宗教政策 |
Research Abstract |
(1)「宗教問題」と「民族問題」は政治の動向と深く関わっており、21世紀の中国社会を読み解く重要な鍵である。本研究が扱う四川省チベット地区とはカンゼ州とアバ州であり、ともにチベット族を中心とした民族自治州である。対象時期は、中華人民共和国成立(1949年)から現在までとする。チベット自治区の周縁部である四川省チベット地区に焦点をあて、「漢民族のチベット仏教への接触と関与」という視点から中国共産党の宗教政策及び統一戦線活動の実態を解明することを目的とする。複数回の現地調査を重視しつつ、地方政府発行の文献資料・『人民日報』記事等を活用して検証する。 (2)チベットの宗教問題を解明する上で四川省・青海省等のチベット地区つまり「周縁部からのアプローチ」が効果的である。私はこの考えに基づき、1991年以降、四川・青海・甘粛・雲南各省内のチベット地区で、中国共産党の民族・宗教政策に関する調査を20回実施し、21篇の研究論文を発表した。本研究ではこれまでの調査内容を継続・発展させつつ、四川省カンゼ州・アバ州に対象を絞り込むことで中国共産党のチベット政策の特質を明らかにする。 (3)チベット周縁部における漢民族のチベット仏教への接触という視点から政治と宗教の関係、漢族の宗教観、宗教を支える経済活動と地域の連携、コンピューターネットワーク上の宗教空間、国境を超える支援活動、ダライ・ラマ亡命政府との関係を明らかにすることができる。チベット自治区と中国の緩衝地帯を現地調査することにより、現在中国政府が最重要課題に掲げるいわゆる「チベット問題」を解決するための有益な手掛かりをつかむことができると確信している。 (4)四川省チベット地区における党の宗教政策と中国知識人の関係を描いたルポルタージュ作品の分析を行う。対象とするのは、陳暁東「ニンマの紅い輝き」、呉玉天「訪雪域大師」及びアメリカ仏教教会が発行する雑誌「美佛慧訊」である。「ニンマの紅い輝き」「訪雪域大師」には、文化大革命終結後、チベット仏教が四川省で復興し弾圧を受けるに至った背景が克明に記されていている。また、雑誌「美佛慧訊」にはアメリカ在住華僑の視点から描かれた四川省チベット仏教とヤチェン修行地の関係を描いた作品が多数掲載されている。華僑からの経済的支援と党のチベット政策・宗教政策には大きな接点があることを立証する。
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Research Products
(6 results)