2010 Fiscal Year Annual Research Report
更年期女性の微小血管性狭心症の病態解明と漢方治療の確立
Project/Area Number |
20510248
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中川 幹子 大分大学, 医学部, 助教 (50244182)
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Keywords | 微小血管性狭心症 / 漢方薬 / 女性 / 更年期 / 性差医療 / 血管内皮機能 / 東洋医学 / 冠血流予備能 |
Research Abstract |
【目的】冠動脈の太い血管には狭窄がなく、冠動脈の微小循環障害により起こると考えられている微小血管性狭心症は中年女性の胸痛の原因として注目されているが、確立された診断法や治療法はない。その診断には経胸壁心エコー法を用いた冠血流予備能の測定が有用であると考えられる。一方、漢方薬の桂枝茯苓丸は微小循環障害に起因する各種の病態に有効であるが、冠動脈血流に対する影響を検討した報告はない。 【方法】我々は若年健常男女各19例(男性11例、女性8例、平均年齢24.5±3歳)を対象に、以下の検討を行った。 1.経胸壁心エコーを用いて、安静時とATP持続投与(ATP注射液0.15mg/分/kg)による冠充血反応中の拡張期冠血流速度を測定し、冠血流予備能(最大充血時平均血流速度/安静時平均冠血流速度)を評価する。2.桂枝茯苓丸(TJ -25,2.5g)内服2時間後に同様の検査を行い、桂枝茯苓丸の冠血流予備能に対する急性効果を検討する。3.桂枝茯苓丸投与前後で血中NO濃度を測定する。 【結果】1.安静時冠血流速度(最大および平均血流速度)は桂枝茯苓丸の内服後には内服前に比し有意に増加した(p<0.005、p<0.05)。2.最大充血時冠血流速度(最大および平均血流速度)は桂枝茯苓丸の内服後には内服前に比し有意に増加した(p<0.005)。3,その結果、桂枝茯苓丸の内服後に冠血流予備能は有意に増加した(3.21±0.76vs3.58±0.68,p<0.005)。4.桂枝茯苓丸の投与前後で血中NO濃度は有意な変化が認められなかった。 【考察】桂枝茨苓丸は冠血流および冠血流予備能を増加する可能性があることより、中年女性の胸痛の原因となる微小血管性狭心症の治療薬としての有用性が期待される。
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