2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520051
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Research Institution | Tsurumi Junior College |
Principal Investigator |
矢島 道彦 Tsurumi Junior College, 総合教育, 教授 (80143337)
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Keywords | 印度哲学 / 仏教学 / ジャイナ教 / マンダラ / サマヴァサラナ |
Research Abstract |
祖師(ジナ)を中心に描くジャイナ教の図像資料を実施計画に従って収集し、画像データ化した。特に9月と2月に実施した調査旅行で、デリー、ラクノウ、マトゥラー、バローダ(旧名)、ムンバイの博物館を訪問するなどして、貴重な図像資料を多数入手し得たことは初年度の大きな成果である。このうちデリー国立博物館では、特別に閲覧を許可されて収蔵品リストから約300点の図像データを抜き出し、現像の申請を行って写真版を入手することに成功し、またラクノウ州立博物館では、地下収蔵庫に眠る多数のマトゥラー出土物を調査する機会を得て、画像データも持ち帰ることができた。 初期の奉献板や四面像を始めとするいわゆるサマヴァサラナ(仏教のマンダラの一般的な対応物)関連の図像に限らず、ジャイナ教の歴史には数多くのマンダラ的な図像が現われていることを確認するとともに、後代には「マンダラ」の名を冠する図像もいくつか生まれ、またヤントラ図形をときにマンダラと呼称する例なども存在することがわかった。 ジャイナ教の寺院や聖地の造営プランには、予想以上に広くサマヴァサラナの理念の影響が認められ、ジャイナ教の諸種のマンダラ的な図像の発生や歴史的な展開については、仏教のマンダラとの詳細な比較が求められる。たとえば、ギルナールやシャトゥンジャヤの聖地を描いたジャイナ教の細密画は、仏教の「参詣マンダラ」を彷彿とさせるものであり、両者の特徴や性格などの比較検討も今後の興味深い課題の一つとして浮かび上がってきた。
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