2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520051
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Research Institution | Tsurumi Junior College |
Principal Investigator |
矢島 道彦 鶴見大学, 短期大学部・歯科衛生科, 教授 (80143337)
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Keywords | 印度哲学 / 仏教学 / ジャイナ教 / マンダラ / サマヴァサラナ |
Research Abstract |
3ヶ年に亘る研究の最終年度である22年度は、日本印度学仏教学会の学術大会で「ジャイナ教のマンダラは何を表わしているか」と題する発表を行なったほか、パーリ学仏教文化学会の学会誌に「インドの図像を読む~見かけ上とじっさいの意味~」と題する小論を寄稿するなど、研究の成果の公表に努めた。また当初の計画に従って、(1)収集した画像データの整理と(2)収集した文献資料の解読を、鋭意行なってきた。(1)については、22年12月にインド・ボーパールのジャイナ教寺院から招待を受けて儀礼を調査する機会を得たので、その画像データも加えて、ジャイナ教のマンダラに関する多くの貴重なデータが整えられた。その一部はすでに海外の学術雑誌に上記の発表の概要とともに紹介されている。ジャイナ教の図像の意味を知る上で、儀礼がきわめて重要であること、とくに極度に抑制されたジャイナ教のジナ像の意味を理解するのに、儀礼研究が不可欠であることを確認できたことは、本研究によって現地で儀礼調査を重ねてきた大きな成果である。(2)に関しては、とくにジャイナ教の儀礼に関する基本的なテキストである『プラティシュター・ラトゥナーカラ』を入手して、その読解を行なってきた。大部なテキストであるため、作業には時間がかかると思われるが、じっさいに現地で儀礼に立ち会ってきた経験がテキストの理解に大いに役立っている。ジャイナ教徒の間で日課として行なわれるプージャー儀礼の多くはヒンドゥ儀礼と共通するが、ジャイナ教独自の儀礼も数多く存在している。なかでもジナの生涯を再現するパンチャ・カリヤーナカの儀礼は、ジャイナ教に固有な極めて興味深い儀礼である。これまでにジャイナ教のマンダラに関する文献と図像と儀礼に関する多くのデータが蓄積されてきたので、今後はそれらを活かしながら、研究をさらに深めて行きたいと考える。
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Research Products
(2 results)