2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代化の中の伝統宗教と精神運動―基準点としての近角常観研究
Project/Area Number |
20520055
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
岩田 文昭 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00263351)
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Keywords | 知識人宗教 / 宗教哲学 / 武内義範 / 信仰告白 / 宮沢賢治 / 三木清 / 親鸞 / 嘉村礒多 |
Research Abstract |
本年度は、研究協力者として、大澤広嗣(文化庁文化部宗務課専門職)、碧海寿広(財団法人国際宗教研究所宗教情報リサーチセンター研究員)、小田晃生(大正大学大学研究生)、内記洸(親鸞仏教センター)の協力を得て、以下のような研究を行った。昨年度に引き続き、近角が設立した求道会館(東京都文京区)に未整理のまま置かれてあった1万通を越える書簡をはじめとする膨大な資料整理に取り組んだ。碧海、小田、内記の三名は、おおよそ週一回、求道会館で終日作業をなした。この成果の一つとして、第一に、宮沢賢治一家の近角宛書筒20通の翻刻を行った。この翻刻は、解題をつけて、平成22年10月に大阪教育大学の紀要にて発表した。第二に、私小説作家、嘉村礒多の近角宛書簡二通の翻刻を行った。嘉村の書簡の発見については、朝日新聞(山口版)2010年9月25日朝刊に紹介された。この翻刻をもとに、近角における宗教と倫理との関係について探究した。第三に、近角に師事した二人の哲学者、三木清と武内義範の関係について考察を深めた。三木の親鸞論の根幹部分は、武内の「教行信証の哲学」に依拠しているという事実を指摘するとともに、このことが看過されてきた背景を宗教哲学研究における「先入見」の問題として論じたのである。また、武内の近角宛書筒の翻刻も行った。 これらの作業とは別に,近角の孫である、木村雄一氏(我孫子市在住)を訪れ、資料を借り受けた。この中には、近角が娘の結婚祝いとして贈った、松島瑞厳寺の石刷りの観音像などがあった。そして、これらの資料の分析に取り組んだ。
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Research Products
(3 results)