2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520059
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 正崇 Keio University, 文学部, 教授 (10126279)
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Keywords | 民俗宗教 / 文化遺産 / 文化的景観 / 道の宗教性 / 修験道 / 巡礼 |
Research Abstract |
本研究は「道の宗教性」という観点から、「文化的景観」との関連を探ることによって民俗宗教の再構築を目指す試みである。「道の宗教性」を「巡礼」「祝祭」「交換」「記憶」「芸能」というテーマに沿って「道の儀礼」の実践から把握し、その事例を調査し、「文化的景観」の生成過程を分析する。本年度、研究代表者は山形県遊佐町において旧修験関連の大際および山への登拝習俗の調査を行った。また福岡県篠栗町において新四国霊場の構成に関わる史料調査・聞き取り調査および講集団の参与観察を行った。これらの調査によって、山と里の対峙および両者を媒介する道とその儀礼を通した「文化的景観」の動態的な過程の分析を行い、国内外での学術大会等で発表を行い、論文として成果を発表した(「11.研究発表」参照)。この他、7名の研究協力者によって伊豆半島・能登半島・長崎半島・知多半島、および四国、沖縄でのフィールド調査を行い、構成メンバーによる研究会で調査結果が報告された。具体的には現代の修験の峰入り、巡礼の実践、祭りの巡行、キリスト教関連遺産、門前町の生成といった、町並み保存、棚田や里山などの文化的景観を文化資源として活用した事例が報告され、「道の宗教性」に沿って比較検討する議論が行われた。次年度以降、メンバーの調査を継続・発展させ、日本各地の「道の宗教性」に関する多様性と共通性を通し、景観との相互作用から構築される、重層的で複合的な文化的景観の構成原理を明らかにし、民俗宗教の研究に関する新たな方向性を見出すことを目指す。
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Research Products
(7 results)