2008 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本版画の世界進出と国際交流-展覧会・コレクター・作家交流-
Project/Area Number |
20520089
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
桑原 規子 Seitoku University, 人文学部, 准教授 (90364976)
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Keywords | 美術史 / 日本美術 / 版画 / 国際情報交換 / アメリカ / 占領期 |
Research Abstract |
戦後日本版画の世界進出と国際交流の実態を、展覧会・コレクター・作家交流の視点から明らかにするため、今年度は以下のような資料収集・調査研究を国内外で行った。まず国内では、占領期から1960年代までを中心として、国内・海外で行われた版画展覧会(国際展・グループ展・個展)に関する資料、アメリカ人コレクターに関する資料、英語版技法書の書籍などの収集を進め、その一覧作成に着手した。戦後日本版画界の重要な作家、恩地孝四郎と斎藤清については御遺族所蔵資料の調査も行った。その結果、1950年代に高揚する版画ブームの背景には、国際美術展の増加や日本人作家の受賞とともに、占領期から始まっていた欧米人コレクターの創作版画に対する愛好、戦前期から版画家たちが取り組んできた海外進出のための地道な活動があり、結果的にそれらが、1957年の東京国際版画ビエンナーレ創設につながったことが判明した。2009年2月に行った海外調査(ロサンゼルス、ホノルル)では、パシフィック・アジア・ミュージアム、ロサンゼルス・カウンティ・ミュージアム、ホノルル美術館、ハワイ大学で作品・資料の調査を行い、国内では入手困難な海外展の資料を収集した。また、1960年代に日本で版画を集めたアメリカ人コレクターやアート・ディーラー、英語版画技法書を執筆した版画家にインタヴューを行い、当時の状況について聞き取り調査を行った。以上の海外調査を通して、戦後日本版画の流通経路や日米の作家交流の一端を知ることができた。来年度以降、さらにこのコレクター、作家交流の視点から調査を進める予定である。
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Research Products
(1 results)