2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520096
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
林 洋子 Kyoto University of Art and Design, 芸術学部, 准教授 (30340524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木島 隆康 東京藝術大学, 大学院・美術研究科, 教授 (10345340)
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Keywords | 美術史 / 保存科学 / 藤田嗣治 / 絵画技法 / 1920年代 |
Research Abstract |
本研究は、近年国際的にも、学際的にも急速に関心を高めている画家・藤田嗣治(1886-968)について、その最盛期ともいうべき1920年代に彼がパリで考案し、実践した独自の技法--「乳白色の下地」に黒色の細い輪郭線で対象を描く出した油彩画--について、美術史と保存科学の専門家が協力して総合的に研究するものである。三年間の科研費の初年度に当たる平成20年度には以下の二件を行った。(1)国際シンポジウム「藤田嗣治の絵画技法に迫る:修復現場からの報告」を平成20年12月6日に、東京藝術大学美術学部を会場に開催した。1920年代末の「乳白色の下地」による大作二種(パリ日本館蔵〔1929〕、エソンヌ県蔵〔1928〕)について集中して議論した。参加者は申請時の予定通りで、藤田の絵画技法に特化した、国内外で初めての国際的なシンポジウムとなり、専門家だけでなく、学生や一般からの多数の観客を集めた。このシンポジウムの報告書は平成21年末に公刊の予定である。(2)国内の美術館における藤田作品の現地調査二件を行った。大原美術館が所蔵する《舞踏会の前》(1925)と京都国立近代美術館の《タピスリーの裸婦》(1923)ほかであり、いずれも「乳白色の下地」による代表作であり、平成21年度に得られる画材などの分析結果はシンポジウムで議論した20年代末の壁画と比較検討されることになる。現段階で、「タルク(ケイ酸マグネシウムの水酸化物)」の利用がこの技法のカギを握っていることが判明している。
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Research Products
(2 results)