2008 Fiscal Year Annual Research Report
国宝「紅白梅図屏風」の制作技法・材料(金箔・有機色料・型)に関する調査研究
Project/Area Number |
20520101
|
Research Institution | (財)エム・オー・エー美術・文化財団(学芸部) |
Principal Investigator |
内田 篤呉 (財)エム・オー・エー美術・文化財団(学芸部), 学芸部, 学芸員 (00426438)
|
Keywords | 紅白梅図屏風 / 金箔 |
Research Abstract |
第1回研究会(平成20年7月8目)にて、研究協力者全員(14名)の出席のもと、本研究の趣旨説明と共に熟覧の機会を設けた。 第2回研究会(同年12月7日)にて、重要無形文化財保持者である森口邦彦、鈴田滋人、室瀬和美による伝統工芸技術から見た流水部の技法解明並びに今後の復元模造の方向性の討議を行なった。また馬場秀雄(吉備国際大学教授)の調査の結果、金箔の可能性の高いことが指摘された。併せて下山進(同大学教授)による2次元蛍光スペクトル非破壊分析を行い、流水部の色料が墨であることが判明した。 第3回研究会(平成21年3月12目)にて、下山氏による2次元蛍光スペクトル非破壊分析を再度実施し、流水部の色料が墨であることが断定された。藤本孝一(龍谷大学客員教授・元文化庁美術工芸課文化財調査官)による本紙の材質調査を実施し、竹紙である可能性を見出した。 第4回研究会(平成21年3月19日)にて、早川康弘(東京文化財研究所)による蛍光X線分析2次調査並びに画像撮影(デジタルマイクロスコープVHX-100・キーエンス)を実施した。 本年度の調査を通して、流水部の色料が藍と推測されていたが、墨であることが判明し、本紙は竹紙の可能性が高いこと、また金箔の可能性が再指摘された。本実績により伝統工芸技術者による復元模造の方向性が明確になり、中野嘉之(多摩美術大学教授・日本画家)による墨の調査、中井浩二(東京理科大学大学院教授)による理化学研究へと調査領域が拡大し、21年度の研究へと継続したい。
|