2009 Fiscal Year Annual Research Report
環北太平洋北方圏の先住民文化について、その現代的意義をモチーフとした空間造形
Project/Area Number |
20520103
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
坂巻 正美 Hokkaido University of Education, 教育学部, 准教授 (60292067)
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Keywords | 彫刻的空間造形 / 現代美術 / 美学 / 美術論 / 芸術諸学 / 北方圏 / 神話 / 先住民 |
Research Abstract |
本研究は、研究課題名のとおり、環北太平洋北方圏各地の先住民の伝統文化や現在の生活の実地調査から、空間造形作品を構想し、創作研究を進めている。本年度「交付申請書・研究実施計画(1)~(2)」の記載に照らし、以下のとおり研究実績を報告する。 (1)北海道及び東北地方の民俗誌及び自然史について前年度収集した資料を基に、引き続き実地調査を行った。研究拠点のる北海道では、北方先住民研究関連機関にて資料調査を実施、新潟県奥三面村や青森県白神山地、秋田県阿仁集落など、マタギ集落で営まれていた狩猟採集文化に関する聞き取り及びマタギ衆の同行にて冬期の狩猟現場へ山中泊の山行を実施した。この他に、岩手県早池峰神楽、権現舞(獅子舞)の姿形を中心に素材収集の目的で撮影を行った。 (2)ロシア極東アムール川中流域のナイヒン村及びトロイツコエ村周辺にて厳寒の冬期間に、先住民・ナナーイの氷上・漁猟の実地調査及び記録撮影を行った。また、流域各地にて3人のナナーイの古老との対話が行えたことで、本研究の目的でもある「自然環境との関係において、様々な破壊的仕組みを持つ現代社会に対抗するイメージの創出」を構想する手懸かりを得ることが出来た。この調査では、現代社会の破壊的仕組みに翻弄されながらも、民族に伝わる古の思想を漁猟の生業と伝統文化継承の意志の中に見ることができた。 今年度の科研費予算内で実施できたのは、(2)のみであり、(1)は所属研究機関の研究予算にて補完した。また、本研究の作品構想の一部を形作るためのシミュレーション作業となり得る「札幌アーティストギャラリー(SAG)」の企画展にて作品発表を行い、本研究の目的でもある、自然との関係において破壊的な仕組みを抱えている現代社会の状況に対抗するイメージの創出に向けた、創作研究を進めることができた。その他に、本年度9月に行われた美術教育学会・愛知大会にて、前年度の成果発表を行うことができた。
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Research Products
(2 results)