2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520111
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
池上 純一 Saitama University, 教養学部, 教授 (40092126)
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Keywords | ドイツ:フランス / リヒャルト・ワーグナー / 音楽学 / 普仏戦争 / ローエングリン |
Research Abstract |
1.リヒャルト・ワーグナー研究の基本文献である『コジマの日記』(cojima tagebucher)を読み解き、詳細な注解を付した翻訳『コジマの日記2』(1870年6月~71年10月分)を東海大学出版会より刊行し(2009年9月20日)、音楽学、ドイツ文化論はもとより政治・経済・宗教に及ぶヨーロッパ19世紀研究に貴重な一石を投ずることができた。 2.ワーグナーがその芸術目標とした「楽劇」への移行期に書かれたロマンチック・オペラ《ローエングリン》のテクスト校訂を行い、原典との対訳に音楽注・訳注を付した対訳本《ローエングリン》の編訳を行った。(2010年4月刊行予定) 3.『コジマの日記3』を読み解くための基礎資料を収集し、解析する作業を行った。その際、特に普仏戦争後のドイツ・フランス関係を知るうえで必要な当時の新聞記事をあたるなどの検証作業を行い、その知見は次年度に予定されている翻訳作業に資すること大であると期待される。 4.ワーグナーのロマンッチック・オペラ第2作『タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦』の対訳・解題本の作成が予定されており、今年度はその準備作業として『タンホイザー』のドレスデン版・パリ版、2種類のスコアを突き合わせ、テクストの文献学的な確保作業を実施した。とりわけ中世写本(コーデクス・マネッセ)及びテユーリンゲン年代記群における「歌合戦」の成立過程を明らかにできたのは大きな成果であった。
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