2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520111
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
池上 純一 埼玉大学, 教養学部, 教授 (40092126)
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Keywords | ドイツ・フランス / リヒャルト・ワーグナー / 音楽学 / ドイツ帝国 / ヨーロッパ近代史 / ロマン主義 |
Research Abstract |
1.リヒャルト・ワーグナーの音楽劇(Musikdrama)への橋渡しをなす先駆的な「ロマン主義オペラ」3作品の棹尾を飾るロマン主義オペラ《ローエングリン》(1848)について綿密なテクスト批判に基づく台本/スコア両面からの校訂を行ない、音楽学者三宅幸夫氏との共同研究により原文対訳に詳細な訳注・音楽注を付し、解題および歴史的/文献批判的資料を掲載した対訳本『ローエングリン』(日本ワーグナー協会監修,2010年5月五柳書院刊)を刊行した。同書は日独文化交流の点からも注目を浴び,2011年秋に在日ドイツ大使館主催の日独修好150周年記念講演会においても取り上げられる予定である 2.ワーグナーの「ロマン主義オペラ」の第2作《タンホイザー》についても対訳本を上梓すべく,本科学研究費による補助を得て,同作品の成立過程を示す各種資料を収集し,その分析を終え,従来「ドレスデン版」(1848)「パリ版」(1861)と呼ばれながらその実態が必ずしも明らかでなかった2種類のヴァージョンを画定することかびきた。現在その翻訳および訳注音楽注の作成に取り組んでおり、一両年以内にその成果を世に問う予定である。 3.ワーグナー研究にとって基本的な資料であるCosima Tagebucherを読み解き,注解を付した翻訳『コジマの日記』(東海大学出版会)を刊行すべく,2010年度にはその第3(1871年11月~73年4月)に相当する部分の作業を進めた。
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