2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520114
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
塚原 康子 東京芸術大学, 音楽学部, 教授 (60202181)
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Keywords | 雅楽 / 近代日本 / 音楽史 / 宮内省式部職楽部 / 神道祭祀 / 唱歌 / 儀礼曲 |
Research Abstract |
平成22年度は、平成20年度に取り組んだ楽師・芝葛鎮の明治4年(1871)の日記の翻刻作業を研究協力者の助力を得てとりまとめ、解題を付して報告書として刊行し、関係機関や研究者に配布した。雅楽の職業的音楽家である楽師(旧楽人)の日記は、これまでまとまった形で翻刻したものがなく、とくに明治4年の本日記は、前年11月の雅楽局設置により楽師が東上した翌年であり、明治天皇の大嘗祭が行われた年の動静を詳細に伝える史料として、きわめて貴重である。したがって、わずか一年分ではあるが、江戸期から概ね大正期まで各楽家で書き継がれた日記の史料的価値を広く認識させる一助となることをめざした。日記に限らず、楽家旧蔵史料については、戦前に平出久雄が行った目録化以後まとまった調査がなされておらず、今後はこれらの史料群の所蔵確認と保存・活用に対して、学会レベルでの取り組みが必要な時期にさしかかっていると考えられる。 また、本年度は、本研究の成果を一般に発信することにも務め、公開講演「近代日本における雅楽の位相」(神道文化会第12回公開講演会「雅楽と神道文化」)を行うとともに、『歴史と地理日本史の研究(232)』第642号に「講座-音楽」シリーズの一つとして「近代日本における音楽」を執筆し、音楽史の成果を日本史研究者に伝える工夫を心がけた。 なお、前年度に本研究の成果として刊行した『明治国家と雅楽-伝統の近代化/国楽の創成』(有志舎)は、平成22年度の(社)東洋音楽学会第27回田邊尚雄賞を受章するとともに、複数の学会誌等に書評が掲載された。
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Research Products
(4 results)