2009 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀後半のイタリア諸都市とウィーンのオペラ公演におけるレパートリーの相関関係
Project/Area Number |
20520124
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
松田 聡 Oita University, 教育福祉科学部, 准教授 (60282547)
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Keywords | ウィーン / フィレンツェ / ミラノ / オペラ公演 / モーツァルト |
Research Abstract |
本研究は,ヨーゼフ二世とレオポルト二世という2代の皇帝が統治した1765年8月から1792年2月までのウィーンにおけるイタリア・オペラ公演について,そのレパートリーがイタリアの主要5都市(ナポリ,ローマ,フィレンツェ,ヴェネツィア,ミラノ)とどのような関わりにおいて形成されたのかを追求するために,各都市のオペラ公演についでのデータベース作成とその分析を通じて,それらの間にどのような相関関係があるのか,またそれぞれの都市のオペラ公演の特色はどのような点にあるのかを明らかにしようとするものである。2年目である平成21年度においては,初年度に入力したウィーンとフィレンツェにおけるオペラ公演にかんするデータを検証し,足りなかった情報について再入力を行った。また,新たにミラノにおけるオペラ公演にかんするデータ入力の準備も行った。最終年度である平成22年度では,それらのデータを解析し,本研究の結論を出す予定である。また,とくに,ウィーンにおけるオペラ公演については,本年度の出版した著書『フィガロの結婚:モーツァルトの演劇的世界』(ありな書房)の「第2幕」と「第5幕」にこれまでの研究成果を反映させた。それら2つの章では,モーツァルトがオペラ公演とどのようにかかわりつつ《フィガロの結婚》の創作に向かったのか,また,同オペラの初演後の上演状況についてはどのように理解すべきなのかを明らかにしている。中でも,1783年にウィーンでイタリア・オペラが復活した背景の1つに,その前年,ミラノで初演されてヒットしたサルティの《漁夫の利》があった可能性を指摘しえた点に,本研究の独自性が現れている。
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Research Products
(1 results)