2009 Fiscal Year Annual Research Report
多メディアにおける「らしさ」の変容――表象文化にとって「自然さ」とは何か
Project/Area Number |
20520131
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
北山 研二 Seijo University, 文芸学部, 教授 (90143130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一之瀬 正興 成城大学, 文芸学部, 教授 (40003462)
川上 善郎 成城大学, 文芸学部, 教授 (00146268)
村瀬 鋼 成城大学, 文芸学部, 教授 (60279247)
木村 建哉 成城大学, 文芸学部, 専任講師 (10313181)
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Keywords | らしさ / 自然 / リアリティー / 表象 / 物語 / メディア / 風景 / アイデンティティー |
Research Abstract |
平成21年度は、まず本研究会に招聘した柏木隆雄氏(放送大学、文学)からメリメ等の小説の「コルシカらしさ」は、現地とは別な文化的コードから生まれたことが報告され事例・理論研究として確認された。その後、統合的研究として北山、村瀬、木村、川上、一之瀬が40名ほどの参加者を得て二日間の国際シンポジウムを組織し、河合大介氏(成城大学、美学)からミニマル・アートは美術史の終焉を告げて「真なるもの」の基準を失効させたことが、D・シャトー氏(パリ第一大学教授、美学・映画学)からポストモダンの歴史テレビ映画は「真なるもの」と「真らしきもの」を重層的に取り込んでいることが、村瀬から「らしさ」の概念は「現れるもの」と「在るもの」という哲学的対立概念と相関的であることが、小河原あや氏(成城大学、映画学)からリヴェットの『地に堕ちた愛』ではアクチュアルとヴァーチャルが「生」のリアリティーとして受容されることが、深川一之氏(一橋大学、アニメーション研究)からアニメーション映画の「本当らしさの表現」は身体感覚の反射的投影に支えられていることが、R・ベルール氏(国立科学研究センター主任研究員、映画学)からダヴィッド・クレルポの『幸せな瞬間の諸断面』は映画と写真の境界に「真なるもの」と「真らしきもの」を編み込むことが報告され、討議の結果確認された。その後、事例研究として「台湾らしさ」、「中国らしさ」、「日本らしさ」が競合する台湾の現地調査を行った。彭春陽氏(淡江大学副教授)、対日貿易会社社長等から「らしさ」が織りなすライフヒストリーの事例を聞き取り、観光地九扮では観光地「らしさ」の誕生事例を視察し、淡江大学日本語文学系の大学院生とは「日本らしさ」の美学について、日本語文学系観光ガイドコースの学生とは観光ガイドの「らしさ」について意見交換を行った。かくて平成21年度は、理論研究と実例研究を大いに前進させた。
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Research Products
(4 results)