2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520145
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
森田 雅子 Mukogawa Women's University, 生活環境学部, 准教授 (40249503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 公子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (50090923)
北村 薫子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 講師 (80319855)
延藤 久美子 武庫川女子大学, 短期大学部・生活造形学科, 助手 (50441225)
矢田部 愛 武庫川女子大学, 生活美学研究所, 助手 (30454747)
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Keywords | 食玩 / 表面質感 / フィギュア / オタク / アニミズム / コンビニ / おまけ / 食品玩具 |
Research Abstract |
研究課題は「カワイイ」「一ロサイズ」の表象芸術として食玩の存在様態や現代生活史における意義を、主に下記の3つの視点から明らかにすることである。 (1)グロバリゼーションの渦中にある「民族性」(日本的-「オタク」的表象文化)の仮説検証 (2)「カワイイ」要素がアンチグロバリゼーション現象であるとの仮説検証:海外調査 (3)図像の消費 味覚・感覚領域の消費流行の仕組みを検証 食玩(「食品玩具」)という生活財は宣伝美術・玩具・大衆娯楽の狭間領域に位置する。平成20年度調査研究で流行の仕組みについて一定の仮説的展望を得た。2000年前後の海洋堂-北陸製菓の共同企画が食玩ブームの起爆剤になった。ファストフーズが主力商品のコンビニ客層をターゲットとし、中でも「オタク」顧客層の資力に見合った商品として提供した。食玩は「オタク」の「憑霊信仰」や「癒し渇仰」に繋がる博物道楽、コレクションマニアや「プチギャンブル嗜好」という貴重な鉱脈を掘り当てた。2000年初頭のブーム時に比べれば、やや沈静しているとはいえ、需要に応え続ける食玩は、単なるおまけや贈答行動の枠を超えて、余剰な価値を増殖し続けている。今後は「オタク」心理の中に潜む「癒し渇仰」やアニミズム的要素をフィールドワークやアンケート調査の中から解明し、海外フィールド調査の実践を通じて、グローバルな視点から食玩フィギュアや類縁のミニチュア商品における「カワイイ」の図像消費の仕組みについて検討する。 海洋堂の宮脇修一によると、フィギュアで肝腎なのは、ハッとする瞬間をとどめた着眼点とひたすら追求するリアルな造形美にある(インタビュー2008年12月)。表面属性と再現の精巧さが命なのである。食玩は、多彩な動物シリーズ、アニメと漫画のシリーズ、ワールドタンクシリーズ、美少女シリーズ、食品サンプルシリーズとフィギュアのモチーフを拡大し、年商600億円以上とも云われるワンダーランドを作り出した。食玩文化は、社会のオタク化、カタログ化を背景に現代アートとの融合と関係性を強め、世相の表示灯として瞬いている。
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Research Products
(4 results)