2010 Fiscal Year Annual Research Report
1960年代日本における文学概念の変容についての総合的研究
Project/Area Number |
20520152
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
押野 武志 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (70270030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 秀太郎 東北工業大学, 共通教育センター, 講師 (40513065)
森岡 卓司 山形大学, 人文学部, 准教授 (70369289)
土屋 忍 武蔵野大学, 文学部, 准教授 (20302200)
野坂 昭雄 大分県立芸術文化短期大学, 国際文化学科, 准教授 (20331936)
山崎 義光 大阪府立工業高等専門学校, 准教授 (10311044)
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Keywords | サブカルチャー / メディア / 1960年代 / 1930年代 / 日本近代文学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本の1960年代において、社会的・思想的・政治的な諸言説が重層的に干渉し合いながら、文学概念の編成と再編がどのように行わたのかを究明することにある。純学/大衆文学、カルチャー/サブカルチャー、文学/政治、事実/虚構といった60年代の文学をめぐる新たな線引きと錯綜した諸言説をさまざまな領域から横断的に分析することで、1960年代の文学をめぐる歴史的な特質を総合的に明らかにする。本研究の特色は、文学をはじめとして、政治・思想・サブカルチヤーといった多様な領域をも包摂することで、各個別ジャンル毎に研究されてきた日本の1960年代の知的言説の特質を複雑で多層的な諸関係の総体として共時的に究明する点、さらに1930年代と1960年代をさまざまな角度から対照させながら、文学概念の再検討を行う点にある。相互参照的に1930年代の諸言説と1960年代のそれとの構造的な類似性と差異を抽出し、思想的、メディア論的な文脈を視野に収めつつ、30年代/60年代の差異と反復を辿ることで、政治・文学・メディアの相関の具体相とその通時的変容を明らかにすることが可能となる。 このような本研究の方法論を確認した上で、各研究分担者がこれまでの1930年代の文学研究の成果を参照枠としながら、60年代の文学が何を構造的に反復しつつ、80年代の文学終焉言説を準備したのかを通時的に明らかにすると同時に、80年代の文学が他のジャンルとどのように葛藤しながら変容していったのかを共時的にとらえることができた。 最終年度である平成22年度は、多くの成果をまとめる総括的な研究の段階に至る。前年度のシンポジウムを中心とした成果を踏まえて、全体の総括を兼ねて、8月27日、北海道大学において第3回会合を開催した。最終的な成果は、紙媒体として研究成果報告書にまとめ、刊行した。
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Research Products
(19 results)