2009 Fiscal Year Annual Research Report
脱ジャンル領域としての「小品」に関する動態的・文化史的総合研究
Project/Area Number |
20520153
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 伸宏 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 教授 (70148724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 義光 大阪府立工業高等専門学校, 総合工学システム学科, 准教授 (10311044)
畑中 健二 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教 (30334551)
森岡 卓司 山形大学, 人文学部, 准教授 (70369289)
加藤 達彦 木更津工業高等専門学校, 人文学系, 准教授 (70321403)
土屋 忍 武蔵野大学, 文学部, 准教授 (20302200)
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Keywords | 小品 / 文学史 / ジャンル / 散文 / 写生文 / 紀行文 / 散文詩 |
Research Abstract |
本研究は、「小品」というジャンル未分化な散文テクストを対象にして、その成立と展開とを歴史的な観点から明らかにし、またこの脱ジャンル的・越境的な領域の担う意義や可能性について多角的に考究することを目的としている。この「小品」に関しては、未開拓の研究分野分であため、先行研究め蓄積は極めて乏しい。そうした状況を踏まえ、今年度は、交付申請書に記載したとおり、昨年度同様に種々の雑誌メディアにおける「小品」の枠組みの成立と展開、様々の作家たちによって発表された「小品」作品群、また「小品」投稿欄の実態など、書誌的研究を中心とした基礎的文献調査を継続して進めた。その結果、『文章世界』・『女学世界』・『読売新聞』・『新潮』その他の雑誌等における「小品」掲載の実相を具体的に確認することが出来た。これについては、電子メールを利用して研究分担者相互の間で情報の交換を行った。同時に、研究分担者それぞれに設定したテーマに即しての個別的な研究を並行して進めた。この個別研究に関しては、1月9日に開催した本共同研究の研究集会において、各自の研究成果の発表を行った。具体的には、「小品」の様式的な特質、「小品」と写生文・散文詩との関係、北原白秋・泉鏡花・国木田独歩らの創作した「小品」の性格、柳田国男と「小品」作家水野葉舟の交流の意義その他のテーマが取り上げられ、この1年間の「小品」研究の成果を全員が発表し、また活発な議論をとおして「小品」に関わる多様なテーマついて検討を加え、理解を深めることとなった。とりわけ「小品」が孕む多岐にわたる問題の輪郭が明らかとなったことは大きな収穫であったと言ってよい。以上のように、平成21年度は、「小品」に関する文献調査を中心とした基礎的研究を充実させるとともに、各自の研究テーマについての個別的考察を一層進展させることによって、確実な成果を挙げることができた。
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Research Products
(8 results)