2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520214
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
大田 信良 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 教授 (90233139)
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Keywords | 帝国 / ポストインペリアル / 英国文化 / イングリッシュネス / 20世紀 / 英米関係 / ジェンダー / グローバリゼーション |
Research Abstract |
第1の研究主題領域である(1)英国リベラリズムの政治文化については、フェビアン協会Webb夫妻の社会主義的言説の歴史的系譜やグローバルな転回として、1930年代以降のStephen SpenderやCyril Connollyをも取り上げながら、トランスアトランティックな様々な流通・交渉を1980年代サッチャリズム期の文化やMartin Amis, Moneyに探った。この成果は、日本英文学会東北支部会シンポジウムで、「マネーへの思索=投機(speculation)とサッチャリズム以降の帝国」として発表した。 (2)の英国ヘリテージ映画の再考については、まず、英国国内南北の経済格差や文化的差異、さらに国外のグローバルな脈絡(新たな帝国アメリカとの関係)を様々に表象した20世紀後半のイギリス映画とその英国文化性について研究した。この成果は、研究会「ポストインペリアル英国文化と長い20世紀」を中心に議論し、上智大学出版より論集『ポスト・ヘリテージ映画-サッチャリズムの英国と帝国アメリカ』として企画・編集したものを出版した。具体的な寄稿としては、第6章「『スキャンダル』-金融資本とカントリーハウスの文化」および終章「英米の『特別な関係』のかなたへ」を分担・共同執筆した。 (3)の英米批評理論の歴史化については、英国内の文学解釈だけでなく、ブルームズベリー・グループの転回としての、ニューヨーク知識人や米国モダニズム研究制度に結び付け、ポストインペリアルな英国文化の多大な影響力を探った。この成果は、"Lawrence and Postimperial English Culture"として日本D・H・ロレンス協会全国大会シンポジウム"D.H.Lawrence Studies in East Asia"において発表し、その学会誌に同名の論文としてまとめた。さらに、アメリカ文学会全国大会シンポジウムの発表「誰もEdward W.Saidを読まない?-終わらない冷戦とReagan期米国批評理論のさまざまなはじまり」および論文「批評理論の制度化についての覚書-トランスアトランティックな文学・文化研究のために」では、ポスト構造主義の批評理論も射程に入れて論じた。
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Research Products
(7 results)