2008 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀アメリカ小説における動物表象の科学史・文化史的研究
Project/Area Number |
20520237
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
佐久間 みかよ Wayo Women's University, 言語・文学系, 准教授 (00327181)
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Keywords | アメリカ文学 / メルヴィル / エマソン |
Research Abstract |
本年度の研究においてエマソン、メルヴィルを中心に、19世紀アメリカ作家の自然観に科学史及び文化史的影響がどのようにあらわれているかについて研究を行った。 5月に行われた米国ALAでの学会発表において、エマソンが東西文化交渉から受けた影響とそれが還流して日本の明治の文学者に影響を与えた点、また、エマソンの記した"Japan"という言葉の背後にある物質文化、書物を通した鎖国時代の「日本」の影響について指摘できた。ここから、エマソンの詩を例にとり,自然史、文化史の影響関係をまとめ、さらにハンティントンライブラリー,ゲッティミュージアムなどで収集した資料をもとに「Ralph Waldo Emersonの“Rhodora"再読-ナチュラル・ヒストリーと東洋」として紀要に発表した。また、メルヴィルの自然観について、前年度のガラパゴスへの調査旅行をもとに、当時の科学史との関係をまとめ、『英語青年』に「ダーウィンを読むメルヴィル」として発表し,メルヴィルが進化論者ダーウィンに興味をもち批判的に受容していたことを指摘した。19世紀という科学が発展する時期において、科学に対してエマソンにおいては進歩的に、メルヴィルにおいては批判的に捉えながらもその進展に深い興味を持っていることが指摘出来たと考える。また、文化史的にも、旅行を通した交流や、その土台となる西欧諸国の海外進出、物質文化による文化交渉の影響が、思想を先取りする形で動物表象にあらわれ、自然観や人間観を変化させていったことについて、さらに研究が必要であることが確認できたと考える。
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Research Products
(3 results)