2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
Nation (Re)Building through Popular Literature : The Myths of the American Revolution and the Cultural Dissemination of Antebellum Sensational/Sentimental Narratives
Project/Area Number |
20520259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Literature in English
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
SHIRAKAWA Keiko Doshisha University, 文学部, 准教授 (10388035)
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Project Period (FY) |
2008 – 2011
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Keywords | アメリカ建国神話 / 共和政期 / アンテベラム期 / 大衆文化受容 / ロマンス |
Research Abstract |
本研究は、アメリカ独立革命期の建国神話がいかに構築され、それが共和政期および、その後の南北戦争以前期(文学史上のアメリカ・ルネサンス期と重なる)の文化の中で、いかに表象され、受容されてきたのかを考察するものである。 そもそも体制転覆の最たる事例であるところのアメリカ独立(および戦争)が、英雄的後期に読み替えられるためには、神話や英雄像の構築が必要であった。宗主国の君主の暴行を列挙して反逆の正当性を訴え、新国家のために新たなる父親像を提示するためには、いかなるレトリックが駆使され、またそれは、どのように民衆に受容されていったのか。そして領土拡大と人種問題の顕現化により、建国期の矛盾が暴かれ、連邦崩壊の危機を迎えたアンテベラム期において、それ以前(共和政期後期)までに生成された神話どのような影響をもたらしたのかを考察するのが、本研究の意図するところである。 従って、本研究は、四年間で、アメリカの「起源」である独立革命期の建国神話や英雄物語を、「再生」を意味するアメリカ・ルネサンスの時代から捉え直すとともに、建国期に隠蔽された政治的矛盾を、アメリカがいかに国民的「合意」へと読み替え、そうした国家建国の理想と矛盾が、当時の文学にいかに反映され、また関連しているのかを明らかにすることを目標とする。端的に言えば、アメリカ文化・アメリカ文学内部に潜在する建国神話の理想や矛盾を、多角的に検討・追求するのが、本研究の目的であり意義である。 さらに本研究においては、こうした考察家庭で、従来の文学史、文学批評しにおいてあまり注目されず、分析対象となってこなかった作品の発掘・紹介も試みる。単に読み捨てられ、忘れ去れた大衆作家作品を見出すばかりではなく、キャノン作家の埋もれた名作を取り上げることによって、共和政期以降の大衆文化受容をより鮮明に示すとともに、アメリカ文学史・批評史の再構築にも貢献したい。
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Research Products
(12 results)