2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゴフマン理論との協奏性から見たジェームズ、オースティン、ホーソーン
Project/Area Number |
20520262
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
若菜 マヤ Ritsumeikan University, 国際関係学部, 教授 (80201143)
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Keywords | ジェーン・オースティン / ミクロ社会学 / 「顔」 / 互恵の法則 / アーヴィン・ゴフマン / 表舞台・裏舞台 |
Research Abstract |
現在の研究の前段階に当たる研究成果は2009年11月、Ashgate Publishingより研究書として出版予定。(http://www.takeawaytraining.com/pdf/tis/9780754667445_US.pdf参照)本科研はこの研究書で提唱しているミクロ社会学的分析手法の可能性を追求すべき、ジェームズとやや時代を異にしたジェーン・オースティンを含む、イーディス・ウォートン、ナサニエル・ホーソーンの作品を取り上げるというものである。2008年度はオースティンの『高慢と偏見』について集中的に研究。(科研は追加採択。そのため、研究費は間に合わなず。)Embarrassment、表舞台・舞台裏、「チーム」という概念を駆使する。とりわけ対面行動における表舞台、裏舞台という「場」は、空間的なものに加えて、「合意」、つまり目に見えない、手で触れることもできない、関係性の如何によって成立したりしなかったりするものによって規定される点、あるいは怒る権利、反発する権利、など「権利の計算」のようなものを登場人物たちは常に行っている点に注目して分析を行った。社会の中の「権利」と「義務」も実は極めて表層的な計算の中から生まれ、社会的な生き物としての人間は概してそのような計算に基づいて行動するよう社会化されている点も、エチケット本の諸記述、あるいはミクロ社会学理論を駆使して分析。作品中の人間の構造的図式も同様である。今後も、文学作品の中には極めて虚構性の高い日常生活を正確に映し出しているものがあるのではないか、虚構とされる文学の世界と、実は虚構性に満ち満ちている現実の世界の間の垣根は考えられているほど高くないのではないか、と言う当該研究者の基本的な視点を明らかにしていく。この研究成果(『高慢と偏見』論)は(約14,000 wordsのものを先方の字数制限に合わせて9,000 wordsに短縮)現在米国の某研究学術雑誌に投稿中。
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Research Products
(1 results)