2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520309
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
山田 登世子 愛知淑徳大学, メディアプロデュース学部, 教授 (90100544)
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Keywords | 贅沢 / 居住 / リゾート / 環境 / エコロジー / 別荘 / ロハス / ライフスタイル |
Research Abstract |
「贅沢の空間論」という視点から別荘地研究をすすめたが、伊豆、熱海、軽井沢など日本の代表的別荘地の視察をとおして浮かび上がった問題は、景観や緑という贅沢な環境に別荘=セカンドハウスを持つという贅沢よりも、むしろその地を人生のセカンド・ステージとして選んで生きるという永住型の贅沢であった。こうして贅沢研究が現代日本のシニア層のライフスタイル研究につながることを発見できたのが最大の収穫であった。このようなセカンド・ステージの舞台となる土地は、別荘地に限らず、自然環境に恵まれた都市近郊一般(たとえば名古屋なら知多半島など)であろうと思う。この意味で、「贅沢の空間論」は別荘地研究からさらにエリアを広げて、都市とその近郊全般におよび、テーマもまた、都市暮らしと田舎暮らしなど、晩年のライフスタイルの比較研究につながる。こうしたアクチュアルな研究課題を今後に期したい。 他方で、日仏米の比較研究という観点からみると、軽井沢に代表される別荘地がイギリスの宣教師によって開発されたように、別荘というコンセプトじたいがヨーロッパ文化の模倣から生まれたものであることを再確認できた。それと同時に、研究エリアに選んだ別荘地の特質は、ファーストフードに代表されるようなアメリカ文化の影響がきわめて少ないことを確認した。 以上の研究から得たとりあえずの結論は、別荘という贅沢が日仏(日欧)に共通するもので、アメリカ文化とはむしろ対立するということである。ただし、別荘を離れて、いわゆるロハスなライフスタイルという点では近年のアメリカ文化の影響は大きい-リーマンショック以来の経済情勢のため米国のフィールドワークを実施してこの点を深めることができなかったのが残念だが、これも今後の課題としたい。
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Research Products
(2 results)