2009 Fiscal Year Annual Research Report
バーナード・リーチと民藝運動に関する比較文化的研究
Project/Area Number |
20520320
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
鈴木 禎宏 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (80334564)
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Keywords | バーナード・リーチ / 民藝運動 / スタジオ・クラフト / 対抗産業革命 / 工芸 / 比較芸術 / 比較文化 / イギリス |
Research Abstract |
平成22年度は、「対抗産業革命」の実践という観点から、日本とイギリスにおけるバーナード・リーチの活動と民藝運動の展開を研究した。 日本に関しては、岡山県倉敷の事例を研究した。大原美術館所蔵のリーチ作品の調査を前年度に引き続き行ったが、その過程においてリーチが白樺美術館に寄贈した絵画作品も現在同館で所蔵されていることを確認し、その詳細を大原美術館紀要に発表した。この研究は白樺派の美術受容や大原美術館の性質を考察する内容であるが、論証の過程において倉敷におけるリーチと民藝運動について基礎研究を行うことができた。すなわち、リーチ、民藝運動関係者、白樺派、倉敷の文化人の間で人脈が形成されていく過程や、その人脈を通じて実践された諸活動について論じ、倉敷における民藝運動の歴史とそこへのリーチの関与を考えることができた。 一方イギリスに関しては、ダーティントン・ホール・トラストという、デヴォン州における共同体建設とリーチの関わりについて論じ、藤田治彦編『芸術と福祉:アーティストとしての人間』に発表した。この中で報告者はリーチがこの事業に参加することで「対抗産業革命」の思想を実践しようとし、結果的に失敗したこと、そしてこの失敗が戦後の活動につながっていることを指摘した。 蛇足ながら、リーチの生涯と芸術、及び民藝運動に関する基礎研究として、上記の他にも益子、丹波立杭で調査を行った。
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Research Products
(3 results)