2008 Fiscal Year Annual Research Report
体系を視野に入れた古代日本語における副助詞の形成史的研究
Project/Area Number |
20520413
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
小柳 智一 Fukuoka University of Education, 教育学部, 准教授 (80380377)
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Keywords | 副助詞 / 文法変化 / 同語反復仮定 / 発話者の評価 / 放任 / 従属句化 |
Research Abstract |
本年度は研究期間の初年度に当たる。来年度以降の研究の準備として,以下の2つを計画し、実施した。 1副助詞研究の理論的基盤に関わる研究を行う。具体的には、副助詞研究に関わる先行研究を収集・整理し、現代語の「とりたて」研究との比較を行い、研究史を踏まえた展望を示すための作業を行う。 2従来あまり研究されていなかった古代語の「より」「よ」「ゆ」「ゆり」を詳細に研究するために、用例を採集する。 1については、富士谷成章・山田孝雄・森重敏などの著作を分析し、研究史的な位置づけを系譜的に行う作業を始めた。また、現代語の「とりたて」研究における基礎概念についても検証を行っている。これらの作業は次年度も継続して行う。 2については、万葉集の「より」「よ」「ゆ」「ゆり」の用例の採集・確認を行っている。 以上の他に、仮定条件句と帰結句が同一語からなる「同語反復仮定」の表現について研究を行った。この研究は、同語反復仮定の表現が表す意味を明らかにしようとしたものだが、これに関連して副助詞的な意味が発生するメカニズムや、文法変化に関する知見を得ることができた。その成果は、次の雑誌論文として公刊した。雑誌論文「同語反復仮定の表現と従属句化」(福岡教育大学国語国文学会『福岡教育大学国語科研究論集』50、2009年2月)
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