2008 Fiscal Year Annual Research Report
上代の戸籍・計帳の人名を古代日本語として解読する研究
Project/Area Number |
20520418
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
犬飼 隆 Aichi Prefectural University, 文学部, 教授 (20122997)
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Keywords | 古代日本語 / 上代戸籍・計帳 / 人名 / 語彙 / 家族関係 |
Research Abstract |
大宝2年度の美濃国と九州3国の戸籍、養老5年度の下総国の戸籍、および8世紀の畿内計帳に書かれた人名について、その古代日本語としての読みと意味とを解読し、索引にするための研究であるが、この補助金申請に先だっておおよそのデータベース化ができていた。当該年度はテキストの字を確定し、全体的な見直しをすすめた。未確定だった語形、それにともなう意味解釈を確定するとともに一度は推定した語形と意味の訂正を行った。 古代日本語の語構造に関する研究の進展状況をフォローし、木簡をはじめとする出土資料がおびただしく増加したために既存資料の解釈を改める必要があり、それに対応して今までの見解を修正した。人名そのものの読みと意味の解釈をいくつか改めた。その結果、従来は人名に字音を導入して使うのは極めて特殊な場合と考えていたが、予想以上に字音を交えた人名が存在した可能性が生じてきた。また、同一人ないし集団をさして、訓読み、音読みの両方を用いる場合があった可能性も生じた。 それだけでなく、その背景をなす文化史的な事情に関して重要な点で考え方を改めた。音読みと訓読みを交える現象は、古代の朝鮮半島における漢字の使用法と深く関わっていることが明確になってきた。彼の地で音訓交用の経験が蓄積されて、それが日本語を漢字で書きあらわす方法に反映したのであったらしい。また一方、日本列島における漢字の使用の歴史についても、国外を意識した当時の中国語使用としての側面と、国内向けに文書を作成する側面の、複線もしくは複層で把握すべきであるとわかってきた。
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Research Products
(6 results)