2010 Fiscal Year Annual Research Report
上代の戸籍・計帳の人名を古代日本語として解読する研究
Project/Area Number |
20520418
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
犬飼 隆 愛知県立大学, 愛知県立大学日本文化学部, 教授 (20122997)
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Keywords | 古代日本語 / 上代戸籍・計帳 / 人名 / 語彙 / 家族関係 |
Research Abstract |
大宝2年度と養老5年度の戸籍の人名を主な対象として、古代日本語として解読し、日本語史の言語資料として提供することを目的にした研究である。 最終年度にあたる今年度は、人名データベース化の最終調整を行いながら、言語資料としての解読をさらにすすめ、あわせて、その学的応用を模索した。 データベース化は、人名のよみによる検索がほぼ可能な状態になった。若干の検討を要する例は、注を付して重複掲載することで処理する見込みである。人名に対して古代日本語の語彙としての語義を付する作業もすすんだが、未確定としなければならないものも残ることが明らかになった。23年度研究成果公開促進費を申請して索引を公刊する計画であったが遅滞したので、24年度申請をめざして原稿化をすすめている。 成果の応用においては、漢字の音よみ・訓よみ及びそれらを交用して日本語の表記に用いる際の方法の資料として極めて有効であること、そしてそれは日韓の古代における漢字使用の歴史の比較対照においてとくに重要であることが明瞭になった。学会発表でその成果を披露した。内容は23年秋に日韓の論文集として公刊予定である。 なお、研究をすすめるうち、8世紀の日本人名に、従来の予想を越えて字音語が関与していることが明瞭になった。また一方、漢字の音よみを借りた用法においても字義の関与が著しいことも判明した。人名のよみと語義解釈に取り入れていくが、これについて新たな構想の研究計画を立てる必要性を認識している。
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Research Products
(3 results)