2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520419
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
丹羽 哲也 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20228266)
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Keywords | 連体修飾 / 助詞「の」 / 相対補充 / 敬語 / 基準点 |
Research Abstract |
(1) 本年度も、名詞を基準とする構文、すなわち、連体修飾表現について詳しく考察した。連体修飾節の中で「旅行に行く準備」「食事をした後」など相対補充と呼ばれる修飾関係について、それが古代語と現代語において表し得る範囲が異なるという問題がある。すなわち、古代語においては、例えば「幼き御後見」という表現が「幼い御後見人」という意味ではなく、「幼い人の御後見人」という意味で成り立つ。これがどのような事情によるのか先行研究で考察されたことはほとんどなかったが、本研究において、主名詞が相対名詞(関係概念を表す名詞)であること、準体節という構文が古代語に存在したことなどを関連づけることによって、それを明らかにした。また、連体節による連体修飾と助詞「の」による連体修飾とが、従来別々に考察されてきて、両者の関連が明らかになっていないという課題がある。連体節は、通常の文に転換可能か否かという基準で「内の関係」と「外の関係」に分類するの(例えば「旅行に行く人」は「その人が旅行に行く」と転換可能だが、「旅行に行く準備」は転換不可)が通説だが、この方法では「の」による連体修飾を扱うことができない。本研究では、主名詞が相対名詞か否か、また、修飾節と主名詞とがどのような意味関係を結んでいるかという観点から、連体節と連体「の」との統合的な考察を進めた。 (2) 近世の浄瑠璃詞章の会話文において、人称詞や敬語の使い分け、口語的表現と文語的表現との使い分けがどのような基準によるのかという問題について、武家と町人の身分関係、男女の差、語り物・演劇としての性格といった観点から、考察を継続した。
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Research Products
(4 results)