2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本語教育の効果を高める言語不安の制御方法とそれをふまえた教授スキル訓練の方法
Project/Area Number |
20520462
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
西谷 まり Hitotsubashi University, 留学生センター, 准教授 (80281004)
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Keywords | 言語不安 / 不安の捉え方 / 動機づけ / 学習方略 |
Research Abstract |
中国・ベトナムにおける調査から、内的動機づけが高く、不安を促進的に捉えている学習者が最も学習方略をよく使用していることが明らかになった。このグループの学習者はすでに十分に学習方略を使っているが、「意味を推測する」方略はうまく利用できていないので、この種類の方略使用を促すことで、さらなる学習効果が期待できる。内的動機づけも不安の促進的捉え方も平均的値を示す学習者のうち、不安が比較的高い学習者は、「日本語学習の計画をたてる」「友入らと協働で学習する」学習方略は使っているが、「日本語に触れる機会を作る」「意味を推測する」方略はあまり多く使われていない。不安が比較的低い学習者は「日本語に触れる機会を作る」方略は使用しているがその他の方略はあまり使っていない。そこで、使用していない学習方略を指導することによって、日本語能力を向上させることが期待できることがわかった。また、ベトナムと中国の学習者の比較では、両者の外国語不安に有意な差はなかったが、不安の捉え方については、中国人学習者が促進的に捉え、ベトナム人学習者は阻害的に捉える傾向がある。動機づけについては「内的志向」および「外的志向」はベトナムの学習者が有意に高く、「競争志向」は中国の学習者が有意に高い。方略平均はベトナムの学習者が1%水準で有意に高い。「日本語に触れる機会」因子、「学習方法の工夫」因子はベトナムの学習者が高く、1%水準で有意である。「推測」因子は有意差が見られなかった。それぞれのグループの学習者にどのように働きかけていけば、パフォーマンスを上げることができるかを検証すること、および、それをふまえた教授スキルの訓練方法を開発することが今後の課題である。
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Research Products
(4 results)