2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520537
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
朝尾 幸次郎 立命館大学, 文学部, 教授 (40102462)
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Keywords | 英語 / ライティング / 到達度 / プロファイル / コーパス |
Research Abstract |
テキストのやさしさ、むずかしさを左右する要因は単一ではない。しかし、それらのなかで難易にとりわけ大きな影響を及ぼすものがある。英語の難易を示す尺度として使われるリーダビリティー公式には単語数で数えた文長と音節数で数えた語長が必ず含まれる。このことを具体的に検証するため、Howard Zinnによる、A People's History of the United Statesとそれを若い世代向けにやさしく書き直した版を比べてみた。その結果、従来のリーダビティー公式が理論的な背景とする考え方が検証できた。同時に、他の要因を探ることができた。 テキストの読みやすさを決める第一の要因はまず文長である。テキストの比較ではこの例がもっとも多用されていることがあきらかになった。文を短くするということは、ひとつの文に複数の話題を盛り込むことを避ける、すなわち、一義一文という考え方である。しかし、やさしく書き直した版では原著よりも文長が長くなる例もみられた。これはやさしく書き直した版では、原著のように読者の背景知識を前提とせず、内容を明示的に表現しているためである。文長は内容と不可分の関係にある。 リーダビリティー公式では考慮されていない要因に代名詞がある。やさしく書き直した版ではHeではなく、Columbusと明示的に示すような例が数多くみられた。文から文へのつながりにかかわる情報処理の負担を軽減し、情報はテキストのその場で解決させようとする、いわば「現地解決主義」と言える。 やさしいテキストの特徴をまとめると、「情報処理の単位が小さい」「スキーマを明示的に表す」「語彙を平易にする」「文の構造をシンプルにする」という点にまとめられる。
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Research Products
(1 results)