2009 Fiscal Year Annual Research Report
地方名望家の親族ネットワークと地方政治に関する研究
Project/Area Number |
20520579
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯塚 一幸 Osaka University, 文学研究科, 教授 (50259892)
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Keywords | 地方名望家 / 親族 / 杉田定一 / 自由民権運動 / 地方政治 |
Research Abstract |
(1) 本研究は、近代日本における地方名望家の親族ネットワークのあり方とその特徴について、具体的事例に即しつつ究明し、それが地方政治に持った意味を明らかにすることを目的とする。 (2) 本研究では、主に京都府京丹後市久美浜町の稲葉家と愛媛県宇和島市三浦の田中家を事例として取り上げる計画である。本年度は、8月・11月に稲葉家文書の撮影を実施した。合わせて、稲葉家の分家にあたる東稲葉家の史料調査を継続し、大阪大学の院生・学生の協力を得て整理を進めた。 (3) 田中家文書に関しては、同家の親族が深く関わった三浦公民館所蔵文書の調査を行った。これで長年にわたる田中家文書及び関連史料の調査・整理が終了した。 (4) さちに本年度は、3月に大阪大学の院生・学生の協力により、舞鶴市上安久の旧大庄屋安久家文書の調査を実施した。同家文書にも親族ネットワークや地方政治に関する史料が大量に含まれているが、その本格的利用は今後の課題である。なお、同家文書などを利用して、日露戦争後から第一次世界大戦直後のワシントン海軍軍縮条約の締結に至るまでの、舞鶴鎮守府と舞鶴港開港問題の関係を分析した論文を刊行することができた。 (5) 3月に、著名な自由民権運動の指導者で、長年にわたり自由党系の衆議院議員として活躍し衆議院議長までつとめた、杉田定一の史料集第一巻を刊行した。杉田家も典型的な地方名望家であり、同家の史料も本研究課題を究明する上で大いに貢献するものと予想される。
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