2010 Fiscal Year Annual Research Report
地方名望家の親族ネットワークと地方政治に関する研究
Project/Area Number |
20520579
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯塚 一幸 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50259892)
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Keywords | 地方名望家 / 親族 / 自由民権運動 / 地方政治 |
Research Abstract |
1. 本研究は、近代日本における地方名望家の親族ネットワークのあり方とその特徴について、具体的事例に即して究明し、それが地方政治に持った意味を明らかにすることを目的とする。 2. 本研究では、主に京都府京丹後市久美浜町の久美浜代官所掛屋稲葉家と愛媛県宇和島市三浦の網元田中家を事例として取り上げた。本年度は2月に大阪大学の学生・院生の協力を得て、新たに発見された稲葉家の補遺史料を整理し、区長・府会議員・郡長・衆議院議員を歴任した当主12代稲葉市郎右衛門の日記を撮影した。これにより長年にわたった稲葉家の史料整理は、和歌の短冊を残してほぼ完了した。また、継続して整理を行っていた稲葉家の分家である東稲葉家については、同家の都合により今年度は整理作業を中止し、来年度大阪大学文学研究科日本史研究室で史料を一時的に預かり、整理を実施することにした。 3. 12代稲葉市郎右衛門・宅蔵兄弟は、宅蔵が旧宮津藩改革派の沼野秀正の妹と結婚したこともあって、天橋義塾を創立した人々と極めて近く、稲葉家文書には私擬憲法草案をはじめとした大量の自由民権運動関係史料が存在する。本年度はそれらを利用して、国会期成同盟第二回大会と憲法問題に関する新しい知見を盛り込んだ論文を刊行することができた。 4. 昨年度からの継続で、8月に舞鶴市上安久の旧大庄屋安久家文書の調査を実施し、あと2年で整理を終える目途が立った。同家文書については、現在第三集まで目録を刊行しているが、引き続き第四集を刊行するべく準備を行った。なお、同家文書にも親族ネットワークや地方政治に関する膨大な史料が含まれており、その本格的利用は今後の課題である。
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