2010 Fiscal Year Annual Research Report
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20520589
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
菊池 勇夫 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (20186191)
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Keywords | 義経蝦夷渡り伝説 / 松浦武四郎 / 田村麻呂伝説 / 大武丸伝説 / 壺の碑 / みちのく山 / オキクルミ / 義経大明神 |
Research Abstract |
本研究は近世の地誌・史書・寺社縁起などから、北日本地域における坂上田村麻呂の「蝦夷征伐」伝説(物語)と源義経の「蝦夷渡り」伝説(物語)をひろく集め、その伝説(物語)の近世的展開または変容のプロセスを具体的に明らかにすることを目的としてきた。最終年度は(1)これまで収集・蓄積してきた伝説(物語)の事例データの再点検と補充、(2)松浦武四郎における義経蝦夷渡り伝説の受け止めかたのついての考察、(3)昨年度来の仙台藩の地誌における田村麻呂伝説(悪路王・大武丸伝説)の展開についての考察、(4)関連論考としての奥州の歌枕(壺の碑、みちのく山と関わる田村麻呂伝説)についての考察、(5)今年度の成果を含む3年間の研究をまとめた報告書の作成、を中心に実施した。(2)・(4)は個別論文として雑誌等に公表したが、(2)では武四郎の義経伝説への親和的な態度、アイヌ自身が義経物語を語っていたのか、義経伝説にみる武四郎の立ち位置について論じ、アイヌ内国民化のなかで果たした義経伝説の政治性を明らかにできたと思う。また、(4)では田村麻呂伝説の地域社会への浸透が近世から近代にかけてもなお旺盛であったことが知られる。(5)の報告書は論考編((2)・(3)および既発表論文)とデータ編((1))とで構成し、年度内に冊子として公表することができた(2011年3月刊、239頁)。データ編はまだ不完全なものであるが、近世の東北における田村麻呂・義経伝説を通観するのに便宜で、岩崎克己『義経入夷渡満書誌』を補うものとしての意義がある。
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Research Products
(3 results)