2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520606
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History |
Principal Investigator |
寺嵜 弘康 Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History, 学芸部, 専門学芸員 (80250231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹治 雄一 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 学芸員 (50342944)
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Keywords | 横浜正金銀行 / リヨン出張所 / 川島忠之助 / 情報収集 / 欧州金融 / 在欧邦人 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、川島忠之助資料のうち、書簡の筆耕作業を実施した。その書簡は、川島がフランス・リヨンの横浜正金銀行出張所主任として勤務していた際に、同地から日本の本店やイギリス支店などに宛てて発進した書簡の控え(コピーレター)で、2冊のノートに合計508通の書簡が収められている。今年度は明治24年10月23日付から明治27年2月22日付まで292通の筆耕を実施した。筆耕に際しては古文書解読力と経験の豊かな研究者に委託し、研究期限内にて予定通りの作業を実施することができた。残りの書簡(フランス語書簡を含む)については、次年度に筆耕をおこなう予定である。 筆耕した書簡から判明した事実は、(1)川島はフランスをはじめ欧州の金融状況や貿易品の動向、政治状況などをつぶさに本店頭取などへ報告していることから、このような情報収集が当時の正金銀行在外出張員の業務の一つであったこと、(2)明治24年に断行された正金銀行の人員整理が、現頭取対初代頭取の対立に起因し、結果的に日本銀行との関係強化につながったこと、(3)欧州における外交官や留学生、企業人などが幅広く交流していたことなどを、資料的に明らかにすることができた。 また、資料自体の中性紙容器や写真容器による整理作業も実施した。 次年度は残りの書簡の筆耕作業を継続するとともに、資料の分析をすすめ研究課題を解明するべく研究を実施する。
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