2012 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦初期における米国核政策と被爆者・ヒバクシャ情報
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20520648
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
高橋 博子 広島市立大学, 付置研究所, 講師 (00364117)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2014-03-31
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Keywords | 西洋史 / 日本史 / 政治学 / 放射線 / 病理学 |
Research Abstract |
本研究の目的は広島・長崎で収集された被爆資料が、米国政府によって冷戦政策の中でどのように利用され、いかなる核時代が作られていったのかを、近年公開された資料や広島・長崎の被爆者や核実験被ばく者の証言の分析によって浮き彫りにすることである。 今年度は、2012年6月に、ドイツの人体への放射線被爆問題の研究者たちとともに放射線影響研究所を訪問し、広島・長崎の被爆者研究を、内部被爆や残留放射線を重視した上で再検証するための論議を行った。また関連したシンポジウムを開催した。 また2013年3月には、明治学院大学において、講演会とシンポジウム「死の灰は消えない:ビキニ水爆被災を再考する」を共催した。 研究成果としては『原子力と冷戦』(花伝者)に「第5章 封印されたビキニ水爆被災」、『日本の科学者』2013年1月号に「冷戦科学としての放射線人体影響研究ーマンハッタン計画・米原子力委員会・ABCC]と題した論文を寄稿し、ビキニ水爆被災や放射線人体影響に関する研究の成果を発表できた。また2013年に出版したロバート・ジェイコブズ著の『ドラゴン・テール:核の安全神話とアメリカの大衆文化』の監訳の際に研究成果を反映させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度より収集してきた史料を活用し、研究成果として出すことができた。また放射線の被曝問題についての日本内外の研究者との研究交流がすすみ、シンポジウム等で公開できたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度については本研究課題に沿った論文に取り組み、単著の学術書にまとめてゆく準備をすすめたい。また特に高齢の研究者・原爆被爆者・核実験被ばく者などへのインタビューを行い、収集した史料との裏づけ作業をすすめ、さまざまな角度から被ばく問題を検証しなおしたい。
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Research Products
(7 results)