2008 Fiscal Year Annual Research Report
13世紀のアンジュー帝国とその遺産に関する国制史研究-中世の英仏関係史論
Project/Area Number |
20520655
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
朝治 啓三 Kansai University, 文学部, 教授 (70151024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 節夫 青山学院大学, 文学部, 教授 (70036060)
加藤 玄 東京大学, 文学部, 助教 (00431883)
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Keywords | アンジュー帝国 / プランタジネット / カペー / ガスコーニュ / 西洋史 / 帝国 / 帰属心 / 領域国家 |
Research Abstract |
平成20年度には研究計画で述べた論点の整理と資料の解読に重点を置いた。代表者朝治は1248〜52年のシモン・ド・モンフォールによるガスコーニュ統治が、アンジュー帝国の遺産経営における役割の歴史的意義を問い、それまで希薄だったアンジュー家当主と現地領主間の封建的主従契約の確立努力であったことを結論し、学会で発表した。分担者渡辺はフランス王家による封臣との合意形成のメカニズムを分析し、口頭発表した。分担者加藤はエドワード1世期にアンジュー家がガスコーニュ統治を封建制を実質化する方向で安定させようとしていたことを現地史料館物文書分析を通じて研究し、口頭発表した。これら三者の研究結果により、13世紀には英仏両王家とも、ガスコーニュ統治においては、封建的主従関係を主たる権力確立手段としようとしていたこと、そして現地領主は彼ら相互間では共同体的な秩序を形成し得ておらず、外部の上級権力に介入され、また彼らもその介入を利用して、利権を得ようとしていたことを突き止めた。大阪と東京でそれぞれ1回ずつ研究会を開催し、若手研究者の育成に努力した。その結果、院生の花房秀一がノルマンディ公領について、上田耕造がブルボン公領について、そして横井川雄介がガスコーニュ領主とカペー家との関係について、従来の通説を越えようとする研究をなしえた。また小野賢一は聖界領主のラントフリーデ的秩序形成について新しい見解を打ち出した。さらに研究協力者の青谷秀紀はフランドル諸都市のカペー家とアンジュー家との権力関係について通時的にたどり、複数の論点を抽出した。朝治、加藤が外国旅費を活用して英仏の文書館で史料を転写した。それらはいずれもファイル化され、相互に利用可能となった。論文集の執筆計画についても分担を決めるなど、具体化しつつある。
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Research Products
(19 results)