2010 Fiscal Year Annual Research Report
13世紀のアンジュー帝国とその遺産に関する国制史研究--中世の英仏関係史論
Project/Area Number |
20520655
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
朝治 啓三 関西大学, 文学部, 教授 (70151024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 節夫 青山学院大学, 文学部, 教授 (70036060)
加藤 玄 日本女子大学, 文学部, 准教授 (00431883)
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Keywords | プランタジネット / カペー / ヴァロワ / 王国共同体 / 諸侯国家 / 帝国 / 帰属 / 領有 |
Research Abstract |
研究期間の最終年度にあたる今年度は、研究会を2度、6月と12月に開催し、各回ごとに研究報告と教科書執筆計画討論をした。11~15世紀の英仏関係に関する欧文文献の紹介とコメントを加藤が、また英国の王国共同体とフランスの諸侯国家的国制について朝治が6月に報告した。また12月には西岡がスコットランドと英仏関係について通時的に論点を概観した。これによって3年間で英仏を核とする二つの帝国的構造の併存と競争の状況が明らかになった。二つの核となる権力体は、それぞれイギリス、フランスだけではなく、周辺のスコットランド、アイルランド、ウェールズ、フランドル、ピレネー諸地域、イベリア半島にも影響力を及ぼしたことが明らかになった。他方、それらの地域の権力体も核権力への帰属を求めつつ、利益を引きだそうとした。プランタジネット家とカペー・ヴァロワ家とは「自国」だけでなく、皇帝権や教皇権を利用しつつ、周辺地域の帰属心を取り付ける競争を繰り返して、戦争を続けた。 同時にこれらの成果を大学生向け教科書として刊行する当初の計画を実行に移した。出版社の同意を得て、全体構想を決め、執筆分担、執筆要項、執筆時期などを既に確定した。3年間のこの研究会に参加した教員と大学院生、学位取得者合計12名が協力して、「帝国的国制」の政治、経済、文化、外交、戦争、共同体、などを分担執筆する。これによって、中世英仏関係史を学生.にも理解させることが出来る、わが国では最初の教科書を生みだす。研究会としては今後も地域を拡大して、また人員を増やして、研究を継続する予定である。
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