2008 Fiscal Year Annual Research Report
南シナ海を渡った人々:土器の比較研究からみた鉄器時代のベトナムとフィリピンの交流
Project/Area Number |
20520666
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山形 眞理子 Waseda University, 文学学術院, 准教授 (90409582)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 博文 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (70209617)
鐘ヶ江 賢二 鹿児島国際大学, 博物館実習施設, 実習助手 (00389595)
|
Keywords | 考古学 / 東南アジア / 形態人類学 / 産地同定 |
Research Abstract |
(1)研究目的ベトナム中部カムラン湾に位置する鉄器時代埋葬遺跡ホアジェムから、フィリピン中部のカラナイ洞穴出土資料と酷似する土器が出土したこと(2007年度の発掘調査の成果)を受けて、環南シナ海地域の鉄器時代土器の類似と相違について具体的に探求することを目的とした。最終的な目標は、南シナ海を渡って移動した先史時代の人間集団を、考古学的の面からどのように把握できるのか探求することである。 (2)研究方法と成果今年度は二度の海外調査を実施した。まず、2008年8月9日〜同8月13日にかけて、フィリピン国立博物館において鉄器時代土器の実見と実測、写真撮影をおこなった。これには研究代表者・山形のほか、連携研究者の田中和彦が参加した。フィリピン国立博物館の収蔵庫に保管されているカラナイ洞穴出土土器の実測図を採った。さらに、フィリピン大学を訪問し、1950年代にカラナイ洞穴の発掘調査をおこなったソルハイム博士に面会し意見交換することができた。カラナイ洞穴の土器は胎土や色調、器壁の厚さなどの点でホアジェム遺跡の土器と異なっており、それぞれ別個の地域で製作されたという印象を受けた。冬には2009年2月9日~同2月23日にかけて、ベトナム中部高原地帯(コントゥム省、ザライ省、ダックラック省)の鉄器時代遺跡出土資料を調査し、その後カインホア省博物館にてホアジェム遺跡出土資料の補足的な整理作業を実施した。カインホアにおける調査には研究分担者の松村博文と鐘ヶ江賢二が参加し、松村は出土人骨の四肢骨の計測、鐘ヶ江は胎土分析のためのサンプル採取をおこなった。山形は2010年冬のホアジェム遺跡再発掘調査に向けた準備として、カインボア省博物館と話し合いをもった。中部高原の三省においては、コントゥム省ルンレン遺跡の甕棺と副葬遺物を実見し、遺跡現地にも行くことができたことは大きい成果であった。
|
Research Products
(2 results)